夜を知りたい息子へ 紫陽花
中学生になった息子が言う
お母さんは過保護だよ
友達はほとんど門限がない
俺はそこまでは言わないけど
夜10時までは夜に遊びたい
夜10時まで息子は
何をするのだろう
遊びの内容を聞いてみる
分からない
友達についていくだけだと
それでは私から
私という大人を通しての
夜を伝えよう
夜暗くなってから
塾でも部活でもなく
出歩くという意味を
夜は決して怖いところではない
いやむしろ楽しい
繁華街は
闇の中きらきらとした灯り
仕事終わりお酒の入った
男女の笑顔
こんな楽しい店がありますよ
なんて声をかけてくる黒服
黒服たちの踊るような動き
一本小道に逸れなければ
そこには輝きと自由が
あふれているように見える
ただそれは虚構だ
虚構の中で遊べる人間が
楽しめる場所だ
夜の繁華街にあるのは
本当の悲しみ
お昼の仕事だけでは
子どもにご飯を
食べさせられない
母たちの労働の悲しみ
家庭からはじかれてしまって
繁華街に混じる
子どもたちの悲しみ
笑ってるのは
彼らを使ってお金を
儲けようとしている大人だけ
そろそろあなたの
夜10時まで外で
遊びたいの話に戻ろう
長くお友達と一緒にいると
そのうち繁華街に出たくなる
繁華街ではやはり家庭に
いたくないお子様のグループと
合流する可能性もある
そこに悪い大人が関わっている
そんなこともある
残念ながら この世の中
良い大人ばかりではない
あなたが分別を持ち
夜の繁華街を楽しめる日は
そのうち必ず来る
私は今の状態では
夜遊びを容認できない
大げさだが
私はあなたの命と幸せが
なにより大事だ
自分を大事にするために
もう少しあと何年かは
夜暗くなる前に
家に帰ろう
私はあなたが大好きだから
真面目な話が少し
気恥ずかしい母は
ようやく頭をまとめ
上記内容をラインで
送った