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スレッドNo.2998

10月31日(火)~ 11月2日(木)ご投稿分、評と感想です。  (青島江里)

【10月31日(火)~ 11月2日(木)ご投稿分、評と感想です。】 

※都合により、お先に失礼いたします。


◎2つの靴下  喜太郎さん

二つでひとつが当たり前のもの。結構周りにあると思います。今回は靴下について書かれていますが、この内容はあきらかに人の世界にもあてはまるように思えました。人のことと言えば、身近な話題として、二人組の芸人さんのことを思い出しました。一人は売れっ子で、相手は、もう片一方の人とか呼ばれたり。比べられて、そっちは仕事がないよねって言われたり。あとは、兄弟で上はできるけど、下はちょっと・・・。同じ兄弟だけど違うよね・・・と、言われたり。二つで一つって、寂しくないようで寂しかったりする。こんなことを考えていくと。そのようなことが、読み進めていくうちに思い浮かんできました。

作者さんは経験者さんなのだろうか、それとも身近の身近にそういう人がいたのだろうか。そのようなことを思わせるくらいに、メインの言葉の数々は心に迫ってきました。

片っぽの靴下は捨てられるだけ
ただのゴミなんだよ
君は泣きながら初めて僕に怒鳴ったね
片足だけでも温める事がでる
片足だけど可愛くできる
きっと必要としてくれる人はいるはず
その為に美しい心は捨ててはいけない

ゴミという単語からの必要という言葉。とてもあたたかい。

全体的に見て、少し整理ができそうなところもありそうなのですが、このような胸にせまるようなたくさんの表現に遭遇した時、少し整理というくらいのことよりも、その表現の方が圧倒的に勝ってしまう。そう感じさえてくれることがあります。今回がそうでした。この言葉を拝見して、誰かの気持ちがあたたまればいいな。そう感じさせてくれました。今回は、ふんわりあまめの佳作を。



◎帽子屋と喧嘩した三月うさぎは  紫陽花さん

童話の世界を感じさせてくれる作品。喧嘩したけれど、離れてしまって初めて知る寂しさなどを感じました。

えっと、思ったことをいろいろ・・・・・・。

こちらは想像された物語風な作品となっていますが、月はうさぎと関係するのですが、帽子屋とはどういう関係なのか知りたいなと思いました。また、童話風味なので、てっきりお茶会はうさぎと帽子屋がテーブルで向かい合って座ってしているのだと思ったら、本の中を飛び出したとなっていました。そのあたりがわかる表現があればいいなと思いました。

ものすごく単純なことなのですが、どうして三月うさぎは三月なのか?そのあたりが、なんとなくてもいいので、わかると楽しいなと思いました。意味もなくその意味を作中に探ってしまった単純な私でした(笑)

月に飛んで行って、月からあたらしいお茶について帽子屋に招待状を出すところは、メインになるところかもしれないと思ったのですが、途中から人間にも招待状がくるよという内容で着地しているところ。できれば、人間よりも、もう少し帽子屋さんと三月うさぎさんの繋がりについて強調できれば、離れている距離からくる寂しさや会いたさに関する表現が深まるのかもと思いました。かわいらしくやわらかなイメージが半端なく伝わってくる作品。今回は佳作二歩手前を。



◎脳の肉眼  積 緋露雪さん

「宇宙際タイヒミューラー理論」という論文があるのですね。世間を騒がせた画期的な考えのようですね。日常の90%以上と言っても過言ではない、公私共々文系の空気の輪の中にいる私にとって、今回はテーマ自体がハードル高すぎました(笑) 内容を絡めてお話をすることは困難だと感じました。力不足で申し訳ございません。今回は保留でお願いします。

考えに考えたあげく、いつもとは別方向な感じで、内容がわからない人が拝読するとどうなるのかという方向で感想をお返しすることにしました。何でもいいので、今後の何かのお役に立てるとよいのですが。

「脳の肉眼」というタイトルはよかったと思います。もしこれが「宇宙際タイヒミューラー理論考」のような感じになっていたりすれば、その時点で、数学アレルギーのガチガチの文系人間はスルーしてしまうと思います。「脳の肉眼」って何?そこから入ることができたことは、とてもよかったと思いました。

難しそうなテーマの長文を読む。これは多くの人が、よっぽどの関心がない限り、かなりの確率で、苦手だなと感じると思いました。一人でも多く、誰かに読んでもらえたらということに重きを置きたいとする場合、二つのことを思いました。

ひとつは「脳の肉眼」を引っ張っていく感じで、さりげなく「宇宙際タイヒミューラー理論」について絡めていくということ。もうひとつは、これだけは外せないという文面だけを選択し、今よりも更に短めに濃縮するということでした。

特に読み手を意識しない場合は、自分の書きたいことを遠慮なく、自由に表現するということが満たされるので、それはそれで、よい点になると思いました。対象にすることが変わってくると、書き方や表現も変わってくるようにも感じました。

積さんは数学がとてもお好きなのですね。数学アレルギー的な私からは、ほぼ理解できない内容で申し訳ないです。ですが、好きで熱弁されている気持ちの温度は、しっかりと伝わってきましたよ。



◎ハロウィン  大杉 司さん

最近は、明るいニュースがものすごく少なくなりましたね。物価高で、必需の食料品にも
相当な負荷をかけられて、皆が皆、相当な倹約生活を強いられていますよね。また、賃金が上がらないことや、過酷な労働条件が加われば、それは大変を通り越してしまいそうです。希望が見えない世界、それを作中の「廃人」というワードから感じました。

ストイックも、どんなに強い人であっても、永遠に続けていこうと決めつければ壊れてしまいますよね。だからこそ、息抜きする必要があるのだと。ただ、たった一人では勇気が出ず、大勢が参加するイベント、例えば、ハロウィンのようなイベントで発散し、楽しむのだと。

馬鹿騒ぎで楽しんでいる間はいいけれど、それはとても短い時間だということ。その部分には、締め付けられるような胸の内側を感じました。そして、明日になれば廃人に戻る。この部分には、無理やり受け入れなくてはならない虚しさを感じさせてもらいました。

廃人のような生活についてからの、最終連の言葉。

それまで何も考えるな
今が楽しいならそれで良い

これは、予想外の展開。一見、投げやりのように見えますが、そうではなく、どうにかして生き延びてやるという底力のようなものを感じさせてくれました。遠くを見すぎてしまうと、力尽きてしまうような日々。ゴールを近くにおいて、ひたすらどうにか生きてやろう・・・・・。そのような意味にも捉えられるようにも思えました。大げさに、「生きてやる!石にかぶりついてまでも!!」のような表現とはまた違う、妙に説得力をもたらす表現になっていると感じました。

全体的にまとまった作品になっていると思いますが、読んでいて単調に思える部分も多めなだと思うので、あと少し、作者さんの表現したいカラーを肉付けしてみるのもよいかなと感じました。今回は佳作一歩手前で。



◎幽霊の木  妻咲邦香さん

わかりやすい言葉が伝えるもの。身近な言葉で。だけど、意味するものは結構奥が深くて、明確にはできず、ぼんやりとした感じ。それでも充分だいたいのことが伝わってくる。というか、はっきりわかりすぎてはいけないものかもしれない。もしくは、形にするには、言い表しにくいものかもしれない。

そのような思いの全体像をうまく表現してくれている言葉が「幽霊」であるように思えました。

幽霊→怖い→寒い→冬
幽霊→死→悲しむ、恐れる
幽霊→死→土にかえる
幽霊→姿がなくなる→人として生きる心もなくなる
幽霊→今はいない人→過去→懐かしむ
幽霊→人の生と死→何度も繰り返す→先人たちの記憶
幽霊→天国→心配事を忘れて天界で暮らす

このキーワードになる「幽霊」の一言で様々なイメージが広がり、掘り起こされるものも生まれていると思います。読み手にこのような思いにまで持っていかせるという表現は、やはり、作者さんの筆の力によるものだと思いました。

また、作中に幾度も出てくる「詩を忘れる」は、人の心を忘れるという意味にもとらえられるし、「詩を書きたいけれど、このままずっと書くことができない自分」という風にも捉えられることができて、読み手各々に、共感できる世界が広げてゆく幅を持たせてくれるようにも感じさせてくれました。

作中でしめされた「幽霊みたいな木」という表現。「みたいな」もわかりやすい表現だと感じました。「幽霊の木」では想像がつきにくいのですが、一般的に「柳」のような木を想像することもできますよね。

詩を書くこと。人としての心を、人として生きることのできる最期まで表現すること。見えるようで見えない、ぼんやりとした、ゆく先のあれこれ。どこか淋しいような悲しいような、そのような空気も感じさせてくれました。あいまいさのようなもの。どこの何についてかはっきりとは言えないもの。とっぷりと暮れてゆく余情のようなものも感じさせてくれました。

特に印象に残った表現は、「誰にも教わらず、教えてもらえず/ここから先はもう言葉などは役に立たなくて/土の匂いをただ懐かしむ」でした。はっきりとは言い表せない切ない世界、どうしようもないものに対する気持ち、切なさをたっぷりと感じさせてくれた作品でした。秀作を。



◎俺に何の関係がある?  司 龍之介さん

とてもユニークな作品。面白いスタイルの作品。難しい四字熟語ばかり並べているかと思えば、蓋を開けてみれば、美女を表現するものばかり。日頃はほとんどと言っていいほどなじみのない熟語。(まぁ、これは単純に私自身が美女という言葉と接触が少ないだけかもですが・・・笑)こんなにたくさん集めることができたなぁと、感心したり。蓋を開けてみて、面白おかしく笑ってみたり。

「どうせ俺には関係のないこと」等と、思いっきり突き放したり、相手にされないといっているので、美女を皮肉るのかと思えば、そうではなく、美女は好きとくる(笑) この正直さにとても好感がもてたりしました。そうかと思えば更に、

女性は凄いな
綺麗になるために努力して
お金もかけてその姿勢だけで十分美しいけど
男の俺も何か頑張らなくちゃと思う

更にその上、

男の俺も何か頑張らなくちゃと思う
それは恐ろしく不可能だけど
努力はしようと思う
人生に一輪でも多くの花を咲かせるために

と、このようにものすごくポジティブな表現が重なり続けての爽やかな着地。本当にいい意味で予想を裏切られました。「どうせ美女なんて縁がない→美女なんて顔だけだろ→俺は俺の道を行く!」なんていうのが、割とよくあるパターンなのですが、すっかり生真面目な言葉の行進が続き、よい人100%に感じられるように終わっているところが面白く。楽しいエッセイを読んでいるかのような気持ちにさえなりました。表現を飾らす、素直な気持ちを軸に表現されている作品。展開が面白く、楽しく読めました。佳作を。


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11月なのに夏日?!かき氷に冷やし中華?秋はどこにいるの?と、思った数日。寒さと暑さのジェットコースター。遊園地でも気温でも、ジェットコースターは苦手です。

落ち着かない寒暖ウェーブ。おからだご自愛ください。
みなさま、今日も一日おつかれさまでした。

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