鳥よ 秋さやか
鳥よ鳥よ
そんな空高く飛びながら
おまえの愛はどこにあるのか
羽はどんどん冷えていくのに
小さな虫を飲みこまず
おまえを一心に呼ぶ声を
覚えているのか
鳥よ鳥よ
電線につらなりながら
ずぶ濡れるちいさな塊たち
驟雨から逃げもせずに
親鳥を信じて待っているのか
信じるということを知っているのか
鳥よ鳥よ
自由な風を浴びながら
窓の奥になにが見えたのか
おまえの体を潰すほどに飛び込んで
どうしてもそこに行きたかったのか
遠い窓に映る夕焼けを
わたしは火事と間違えたことがある
目が覚めるほどハッとした
窓の夕焼けは
おまえたちを悼んで
あんなにも赤かったのか