音を紡ぐ エイジ
それは最初は音だった
一つ一つの音が連なり
いつしか旋律となった
旋律は滑らかに
高低を繰り返し
時に休み 時に連なり
一枚の楽譜となった
ああ、また印象的な
あの主題が現れる
私は音宇宙と一体となる
私の想念は今や
宇宙空間へと自由に放たれる
主題はやがて変奏される
教会の大伽藍を震わせるほど
高らかに鳴り響く
絶妙なそして的確な
和音が添えられる
和音は更なる音を積み上げ
幾層にも積み上げられ
夢幻の響きに誘う
その上を旋律は走り抜ける
楽譜を二枚三枚四枚と
何秒か突然の静寂
あまりに静かすぎて
空気の漂う音が聞こえそう
そしてゆっくりコーダが始まる
主題の展開を受け継ぎ
ため息まじりに
音が紡がれていく
繊細なタッチの旋律は
バロックの如く絡み合い
やがて聖堂に最後の一音を落とす
それは最初は音だった
ある一つの音だった