歌えない歌 凰木さな
歌が歌えなくなる程
疲れてしまった時には
いっそ何も無いところへ
行きたくなる
そんな場所は
どこにも無いと
知っているのに
歌が歌えなくなる程
疲れてしまった時には
手当たり次第に
思いついた事をするだけ
順序立てる事も
有益な事も
分からなくなる
生まれてきた責任は
きっと私にある
細胞分裂を繰り返して
地図を渡されて来た
小さい頃から
いつも一番後ろを歩いていた
追い抜かされて
追いつけなくて
歌が歌えなくなる程
疲れてしまった時には
それでも地図を頼りに
歩いて行くだけ