秋雨が映すもの エイジ
早朝5時
秋雨に降られて出かけていく
どしゃぶりの大雨だ
夜明けまでまだ1時間以上
真っ暗な一本道を
独り駆けていく
カバンは傘からはみ出し
ずぶ濡れになっている
お構いなしに駆けていく
水たまりが所々に出来て
上手くかわせないので
靴は泥水まみれ
相変わらず
傘に降る雨粒は
ぽつぽつと拍子を
刻み続ける
歩道に飛び出した
木の枝が傘にぶつかり
余計な滴を私に浴びせる
降り注ぐ雨粒の向こうに
私は見た
ぼんやりした影たちを
ああ、電灯の光たちが生むんだ
無言で立ち尽くす
暗い彼らを
悲鳴を上げる腰を抱え
歯を食いしばりながら
一本道を抜けると
三差路が二つ続く
渡り終えれば目的の地
やはり雨に降られながら
郵便ポストに投函する
目的は達成された
さあこれから帰り
雨という混沌を鏡に映す
人間という混沌の
私という混沌の
心をふと覗き見る
ねえ、君には何が見える?