詩的宇宙旅行 理蝶
月の国への手土産は
詩人の夜毎の成果
詩人と月の密談の議事録
つまりはこの星に生まれたいくつもの美しい詩
僕はかぐやを呼びつけて
月までひとっ飛び
青い星の詩を月の国の人々に説いて回る旅
彼らは不思議そうに詩を聞いている
彼らの心の中に
次々と名前がついて
言い当てられる
そんな詩が僕の星には沢山ある
お返しに彼らはこの宇宙の始まりを
少しずつ教えてくれる
彼らはこれまでの全てを知っている
いくつかのロマンは崩れたけれど
僕はそれに少し安心したりもする
彼らだって僕らと同じで
これからのことはわからないことばかり
だからこそ彼らは詩を求めている
心を形にする術を求めている
僕は月に文学を植える
やがてそれは芽生え育つだろう
いつかきっと
青い星に誰かの悲しみを重ねて
出会いや別れを歌うだろう
僕たちが月にそうしていたように
僕は青い星に帰る
月の文学に期待して
僕はまた月を見上げる