可哀そうは何処に 紫陽花
茶色い縞々野良猫親子がじっと見てる
私の出したゴミ袋を見てる
私はそれを陰から見てた
先週道路いっぱい食べ散らかされて
掃除が本当に大変だったから
今日はゴミ袋を鉄壁の守りにした
親猫がシュッとゴミ袋を引っ掻く
暑さのせいかこころなし力弱く
今日はゴミ袋を二枚重ねにしたから
そんな爪じゃ中身は出ない
子猫は結び目あたりに飛びかかる
今日は、この世の鬱憤全て絞り上げるように
縛り上げたから
そんな体当たりなんともない
しばらく炎天下の下格闘してた野良猫親子
5分ほどで諦めた
がっかりした顔して野良猫親子は
いつもの通りに消えてった
にやにやしながら、私は「勝った」と呟いた
そんな私を陰から見てた我が娘
「可哀想に。朝ごはん食べられなかったよ。
ガブリエルとルシファー。私名前つけてるんだから。」
はあっとため息つきながら、怖い顔で娘は続ける
「お母さんは、朝ごはんも昼ごはんも夕ご飯もしっかり食べて
ポチャポチャしてるのに、ガブちゃんルルちゃんはガリガリだよ。
可哀想に」
なんて、顰め面で責められたものだから
私は慌てて野良猫親子
いやいやガブちゃんルルちゃん
違う違う、可哀想を追いかけた
ああ、私のせいで飢え死にしちゃうなんて嫌だ
ちょっと泣きそうになりながら
ぜえぜえはあはあ 走って走って
ふいと角を曲がると
ゴミが散乱してる 横にはガブちゃんルルちゃん
なあんだ、朝ごはん食べられてるじゃない
可哀想は何処かに行って見えなくなった