第三惑星の憂鬱 理蝶
第三惑星の憂鬱が
宇宙で表彰されないように
笑顔のポスターを貼って回れ
愉快なフリでいつしか笑え
砂漠に堕ちた人魚くらいの速さで
歌は干からびる
興は覚めて行く
死んで間もない感性を
誤魔化しながら人は死ぬ
剃刀みたいに無駄のない
銀色の強い夜だから
俺は死ぬほど浮かれてる
出来上がる言葉を捨てられる
背広を破いたその音が合図で
辞書がうろたえ嘔吐して
とたん拍動と感覚がものをいう場所になる
電子のようにすばしこく
鼠のようにあざとく
感情の認証番号を人に問え
不安を凝らせ 世に放て
第三惑星の憂鬱は
スーパーカーのスピードで
振り切れた針をさらに押す
始まったら終わるまで
剃刀みたいな夜の中
眩暈がするほど生きてゆけ
眩暈はするけど生きてゆけ