音の精 エイジ
音符と音符の間を
フェアリーが舞っている
いたずらっぽい笑みを湛えて
Amの音間から出てきて
Eへと綱渡り
また次のAmから
ひょこっと顔を覗かせて
D9へと飛び込んでいく
四分休符でひと休み
その周りには春の花畑が
ぼんやり透けて見える
清い空気を纏って
やって来る美しい精
いつもほのかな笑顔の
フェアリーは音の精
優し気な楽曲を見つけては
音譜の中を舞っている
そんな楽曲が世に残る限り
彼女は舞い続けられる
綿の柔らかな布を
肌のすぐ上に纏い
オーガンジーの布を
その上にひらつかせている
とても軽やかな音の精
次はCで舞っていたら
Gが彼女を呼び寄せる
Amへ飛んで行ったかと思うと
そっと目を伏せて
Fの中で眠りについた
ミントの香りがふっと
音譜に香っていた