曲がった襟を直されて まるまる
曲がった襟を直されるのが
嫌になった
同僚が よくやってくれる
ありがとう
お礼は言うけど
いつからかされるのが
嫌になった
気安く触られたくない
訳でもないのに
気が付いたからやってあげる
それなら してもらう
そんな関係性はむしろ 尊い
曲がってるよ
と言われるだけより
嫌な理由はたぶん
私本人はここに居るよ とか
自分でできるよ 小さい子じゃないんだから
とか
もっと言えば
直すべくは襟ではなくて
曲がった襟に気をまわさない
無神経な私の性質
襟だけ直してみたところで
大事なところは
直らない
襟を直すことの焦点は
やってあげたいあなたの方に
完全に当たってる
私のため ではなく
やりたいあなたのためだよね
そんな風に
不快に思う自分が憎い
親切なあなたは悪くないのに
今日は日曜日
同級生が集まった
高校以来 すごく久しぶり
同郷
ほぐれる
みんなが揃って 歩き出すとき
同級生の一人から 私へ
襟 直していい?
あはは、今日も曲がっていたらしい
あらやだ 直して
楽しい
これだった
私の してほしかったこと
先に知らせて欲しかったんだ
大した境界はないけれど
これは 私の管轄
踏み込むなら ちょっとでいいから
様子を探って欲しかった
同級生の
気の利いた所作や物の言い様
幼馴染みという見えない仕組みで
なんだか ほっとした
気分のいい一日だった