木こりのうた
カコーン カンカン カコーン
樹々のざわめき
鳥達の囀りと風の囁き
山奥に響く木こりのうた
町の雑踏 うたは聞こえない
そんな中 一人の青年が振り返る
町向こうの山に目をやり
導かれるように歩き出す
山の裾野に辿り着くと
カコーン カンカン カコーン
………目を閉じて森の奏でるうたを聴く
やがて手に持つ鞄を離して
山奥へと進む
カコーン カンカン ………
木こりはその手を止めて
山を登ってくる青年を見つめる
向かい合う青年と年老いた木こり
木こりは手に持つ斧を青年に渡し指を指す
そこには一軒の小屋がある
老人は小屋とは反対方向へと歩き出し
霞のように消え去る
青年は腕まくりをして斧を大木へと振り下ろす
カコーン カンカンカン
カコーン カコーン カンカン
樹々が新しいリズムに合わせるようにざわめき鳥達も迎え入れる様に囀る
風は静かに呟いた
カコーン カンカンカン
カコーン カコーン カンカン………