透明に関する考察 理蝶
透明とは
0が発明された夜の
澄んだ外気の色
透明とは
窓際の席で空を見る
ニヒルな彼の見た景色
透明とは
今君の中だけに有る
形を持つ前のその気持ち
透明とは 透明とは
人だから初めて見える色
濁りを 遮られることを
受け入れた悲しい生き物に
訪れたささやかなプレゼント
一つを挟んで
向こうが綺麗に見えることを
ただそれだけを
美しさと捉える生き物
そんなに愛おしい生き物なのに
なのにどうして
世界は濁って遮られている
今この瞬間もそれは増しているような気がする
それは少しパセティックな気もする
そんな逡巡すらも僕の瞳を濁らせる
だから
小川のせせらぎを
0時になっても消えないヒールを
日々に浮かぶ君の中の気持ちを
人は今日も美しいと言うのだろう
そして僕は今日も
君の中の気持ちに
気づかないままなのだろう
透明な君の気持ちに