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スレッドNo.3195

五百円玉が空から降って来る 三浦志郎 12/24

ある広場
老人がカラスに餌をやっている

(奇特な人だ)
と 私はベンチに座って見ている

他のカラスもやって来て
鳴き声をあげながらケンカ
餌を取り合う

(バカな鳥だ)
と 私は黒い羽が騒ぐのを見ている

そんな光景もひと段落
すると空から光るものが落ちて来た
行ってみると
五百円玉が一枚

老人が叫ぶ
「五百円玉が空から降って来た!」

(あり得ない!)

おそらく ありようは――
地面で餌を探していたカラスが
落ちていた銀貨を咥えたはいいが
(これは喰えない)
と思って飛びながら嘴から放したものだろう

場面を考えると
餌を与えた彼への
お礼ともとれるだろう
(それにしては多すぎだろ? 釣りをやれよ)

彼が私の傍に来て
「アンタ 見てたろ 半分やるよ」
そう言って、私に二百五十円を手渡して
スタスタと行ってしまった

私はその老人を知らない
アカの他人だ

その後 コンビニで
その金で
鳥の唐揚げを買い求めた

さいわいか
あいにくか

カラスの肉ではなかった


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評なしで。ほぼ実話であります。

編集・削除(編集済: 2023年12月24日 12:30)

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