俯瞰中毒 理蝶
俯瞰は
賢者の付け髭をつけた
子供の幼い反応
単純な防御
反論の余地を爪楊枝の先で
潰していくようなみみっちい作業
物事を見下ろすことで
自分の立場までもが
そこまで登ってゆくと
錯覚する
少しの冷静さがあれば
誰だってできることなのに
一億総議論時代
それはトマトの投げ合いに近いかもしれないが
メガホンだけ授けられた賢者の皆さんが
平静を装い髭を撫で
電子の街で街宣する 喚き合う
やがて我慢ならずトマトを投げ合い
街が真っ赤に汚れる
僕は今俯瞰する人を俯瞰している
誰より幼く誰より守っている
と自らを俯瞰することでまた自らを守る
と俯瞰する、、、、そう俯瞰する、、、
一億総俯瞰時代
神のない貧しい 心の冬には
こんな詩が生まれる