ミュージシャンと詩人 喜太郎
あの頃の君は
いくら頑張っても
追いつくことさえできなくて
羨ましくて悔しかった
だけど
今目の前のステージに立つ君は
ただのミュージシャン
絞り出す歌声に
作り出された歌に
あれから君は
身体だけじゃなく
心もたくさん傷ついたことを知る
でも同じくらい
幸せもあって
君は音楽に
巡り合ったんだね
悔しいけど
気づくと僕はリズムをとり
手拍子をして
拍手をしながら
君の姿が
僅かに霞んで見えたよ
そして僕は
この素敵な
ただのミュージシャンを
道は違うけど
追いかけている
まだ少しは
走れそうな気がした