献身国民観察日記 えんじぇる
自分のために生きているお兄さんが、こう言いました。
「メジャーデビューしまーしゅ。頑張って夢叶えまーしゅ」
それを聞いていた、献身国民が言いました。
「めんどくせーけど、頑張って。応援しまーしゅ」
自分のために生きているお父さんが、こう言いました。
「長生きしまーしゅ。朝好きな時間に起きて、無理せずに過ごし、筋トレやって、体にいいもの食べまーしゅ」
それを聞いていた献身国民が、こう言いました。
「めんどくせーけど、頑張って。俺もう、付き合わされたくないから、出ていきまーしゅ」
テレビやラジオでは、自分のために歌っている歌手がこう歌います。
「おいらたちの長生きのために、若いみなさんも付き合いましょう。我慢我慢。辛抱と忍耐努力」
それを聞いていた献身国民は、言いました。
「それは、みんな辛いんじゃないかなあ?」
どこ行ってもなにやっても、みんな自分のために生きてる。
俺のためにやることなんか飯食って風呂入って寝ること、あと性欲処理だけだよ。
こうして献身国民は一生仕事にも恵まれず、社会にも組み込まれませんでした。おしまい。