そこに居なかった俺のために 酔呆
広過ぎる街
遠すぎる言葉
あるいは鳥たちの変わらぬしぐさ
俺たちは幾晩も語り合い
互いの言葉を正しく理解し
相容れないことを正しく理解し
言葉のままに分かれた
椅子が不平を呟いていたね
卓が不満を訴えていたね
夜明けの風が静かに
カーテンを揺らしていたね
遠すぎる街
広すぎる言葉
日々の営みに日焼けした軒の列なり
席を立ち、俺は
気弱に振り返る
君は真っ直ぐに俺を見つめ拳を握りしめていた
指先から流れる血が
君の悲しみの色だ、しかし それは
俺たちの悲しみの全ではない
冷たく項垂れる言葉
幻の街
あるいは眩暈に似た希望
予め失われた道標 その先で
俺たちの交差する視線が薄く
薄く影を曳いている