孤独な空 荻座利守
己自身に
限界を感じて
取り残されたような
孤独を背負って
その重さに
俯き歩くとき
髪と頬を撫でる
微かな風に呼ばれて
空を見上げると
ひとりでに呟きが
口より漏れでた
ああ
空はこんなにも
広かったのか
そして
初めて知る
その広大さ故に
空もまた
孤独であったことを
空は孤独であるがために
雲や陽光や
月や星々を
拒むことなく受け入れて
沈みゆく夕陽の残照に
染め上げられた紫雲や
高く薄い層雲に映る
滲む涙のような朧月や
寂寥を模したかの如き
暗天で孤高に瞬く星のような
見上げる者の歩を止める
数多の様相を顕し
遠い古代より
その広大な相貌を以て
寂しい人々の心に
寄り添ってきた
その数多ある空の様相の
ひとつに
今
いだかれていることを
感じたとき
私の背負った孤独は
古代より続く空の孤独を
知るためのものだと覚った
私は空を通して
数多の寂しい心と
つながっていたのだ