飼い猫と呼んで下さい 紫陽花
はい私は野良猫でした
定職はありませんでした
屋根があるところなら
大体のところで寝ました
ご飯は気が向いたように
調達しました
少し愛嬌があるので
寂しそうな人を見つけては
少し近寄ってあげました
喜ばれました
なるべくか細い声で鳴きました
優しい誰かが撫でてくれました
こんな毎日でよかったんです
結構気に入っていたんです
目覚めた時の一人ぼっちの寂しさを除いては
だれかと一緒にいるのは本当に怖かった
次に会うときに嫌いって言われないか
急にいなくならないか
私に飽きないか
だから孤独な野良猫でよかった
どこにでも溶け込む静かな野良猫だった
優しいあなたにだけ見える野良猫だった
そしてあなたにとって都合が悪くなると
そっと消える野良猫だった
そんなことを思い出したのは
そうさっき我が子から
お母さん お母さんは
なんか野良猫感が強いよ
うん お母さん野良猫だ
と宣言されてしまったから
ああどんなに洗っても取れない野良猫感
私お友達からカステラもらって
子供にあげただけなのに
子供は言う
お母さんは外にふらっと出ると
絶対なんかもらって帰る
それ野良猫だからね
そういうことらしい
はい私は新しい野良猫です
定職あります
住所あります
ご飯はクックパッドで計画立てて作ります
PTAの辺りをテリトリーにしてます
お菓子と情報のやり取りが得意です
寂しそうな人をフォローします
大きな声を出します
新しい野良猫はこんな毎日が
すごく気に入っています
でも本当は飼い猫と言われたいです