糸くず 喜太郎
肩に付いてた糸くず
そっと摘んで捨てました
そしたら吹いた風に持って行かれて
遠くまで飛んで行きました
肩に乗っかっていたかったのかな?
側から離れたくなかったのかな?
だから近くに捨てられるのが辛くて
風に乗って直ぐに離れたのかな?
私も糸くずみたいなモノだよ
社会から消えても何も変わることはないし
ただ摘んで捨てられないだけ
もし捨てられたら乗せてくれる風は吹くのかな
隣を歩く人に聞いてみたら
不思議そうな顔をして
何も変わらないかもしれないけれど
隣の人は悲しむだろうねって言ってくれた
私みたいな糸くずを
肩に乗せたまま歩いてくれてる
あなたはそんな人なんだな
私から手を繋いだ