1/16〜1/18までにご投稿分の評と感想です。 井嶋りゅう
1/16〜1/18までにご投稿分の評と感想です。
ご投稿された詩は、一生懸命書かれた詩ですので私も一生懸命読ませていただいておりますが、上手に意味を読み取れなかったり疑問を書いたり頓珍漢な感想になったりする場合もございます。申し訳ございませんがそのように感じた場合には深く心に留めず、そんな読み方もあるのだとスルーしていただけると助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。
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「今のうちに」理蝶さん
理蝶さんこんばんは。
後半に行けば行くほど、うなるくらいの出来栄えでした。「心」というものに飲み込まれず、また突き放さず、適切な距離を保ちながら、細胞や絵画を例えに、目に見えない形のない「心」というものを見事に伝えきっていたので、「心」を感じることが出来る詩になっていました。
3連目「心は処女作であり最新作である」という一行は名文だと思います。うまいこと言うなあ、と思いました。また、最終連も素晴らしかったです。「心が僕たちにとって1番の秘密であるうちに」この「〜うちに」がとても効いていました。良かったですね。
全体的に引っかかるような箇所や辻褄の合わない箇所なども見当たらず、パーフェクトだと思いました。よって花丸の佳作でした。
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「存在することの気怠さ」積 緋露雪さん
積 緋露雪さんこんばんは。
とても感心する詩であります。「存在することの気怠さ」がこれでもかというくらい、描かれていました。それは、日頃から自己を見つめ対話されているのでしょう。ともすると感情に飲み込まれて、人によってはやけを起こす衝動にかられることがあるかもしれないところを、上手に距離をとっているようにも感じますね。積 緋露雪さんは主に書物を例題に取り上げて書き進めることを得意とされているように感じますが、今回は金星、すなわちVenusが登場しました。Venus、地球、森羅万象と、この流れの中に書物「差異と反復」の件がはさまっています。今回に限っては、せっかくの自然現象の流れですので書物はお休みしても良かったかもしれませんね。それでも内容の濃さは変わらないと思います。後半のほうに「時折世界が黄金に輝くときがある」とありますね。具体的には書かれていないのが少しもったいないのですが、この部分がとても眩しくてきらきらしていて、朝日あるいは夕陽のオレンジ一色に視界が染まる想像をしました。素敵でした。この一瞬の煌めきをもう少し広げてもいいかもしれませんね。積 緋露雪さんの詩に少し柔らかさが出てきたように感じます。とても良い傾向と思いました。佳作といたします。
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「本の風景 八合目」エイジさん
エイジさんこんばんは。
あらためまして。免許皆伝おめでとうございました。
この詩、粘りましたね。おかげで、しみじみと良い詩に仕上がっていました。3章?に分かれていたのも良かったと思います。エイジさんのお散歩シリーズではあるんですが、今回は一味違って、現在をとてもポジティブに彩っていた作品でした。「詩と出会う 詩と生きる」という書籍と出会い、その魅力的な内容を噛み締め血肉にしていった4年間、山登りに例えるとようやく八合目まできたかもしれないという達成感や安心感など、本当は悔しい気持ちや思いもあったであろうことは書かれていませんが、何となくこの詩から滲みでているように感じました。だからこその、しみじみと良い詩に仕上がっているのだろう、と思いましたね。自分のペースで歩いてここまで来たよと、胸を張れる詩だと思います。佳作といたします。
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「夕焼け」喜太郎さん
喜太郎さんこんばんは。
いいですね〜。夕焼けに包まれた青春、初々しさ、気恥ずかしさ、そして懐かしさ。夕焼けが何もかも赤く染める世界に、君と僕、右手と左手、星と月と時、よわむしけむし。この、よわむしけむし、が効いてましたね。「雲の上の帰り道」というのもまた良かったですよ。口づけたあとのふわふわとした足取り、その体感を表す最後の一文に、こちらがわもつい微笑んでしまいました。人も世も、真っ赤な世界。とても良かったです。佳作といたします。
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「待ち時間」麻月さん
麻月さんこんばんは。
とても素敵な時間ですね。コンコンコンとノックしたのは、ひとりぼっちの自分をなぐさめてくれる者なのかもしれません。自分にだけ存在する者のようなイメージでした。実は鳩時計のイメージもありまして、決められた時間に必ず登場する仕組みの壁時計なのかもしれないな、とも思いました。圧倒的に待ち時間のほうが長いのでしょう。その長い待ち時間が、ほんの少しのお茶の時間やおしゃべりの時間のおかげで持ち堪えられている様子が、人生にも似ていて、こういう時間の大切さがしみじみと伝わる良い詩だったと思いました。少しのファンタジックさが、しんとした部屋の中で繰り広げられる様子が素敵でした。
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「予感」小林大鬼さん
小林大鬼さんこんばんは。
大変お久しぶりでございますね。お元気でしたか?
今年は新年から地震が起こり、大変な幕開けとなりましたね。関東もだいぶ揺れたと聞きました。夕方の出来事でしたので、小林さんのように初詣の帰りだったというかたが、新潟にも沢山いらっしゃったでしょうね。本当にご無事を祈るより他ありません。この詩には淡々と当日のことが書かれてありますが、小林さんの動揺もよく伝わってきました。私も東日本大震災を思い出し、まさかまたあのようなことに、と考えたりしました。居ても立っても居られない気持ちを、小林さんは思わず詩になさったのでしょう。悪夢を繰り返さないでほしいとの願いもあったかもしれません。評価は割愛いたしますが、お気持ちはしっかり伝わりました。
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「飼い猫と呼んで下さい」紫陽花さん
紫陽花さんこんばんは。
この詩は笑いと涙あり、の作品でしたね。一連目と二連目は切なくて寂しくて、どのような気持ちを抱いている野良猫だったのか、野良猫自体の特徴もかねて、きちんと書き込まれていてしんみりしました。が、一転。三連目で我が子から野良猫感が強い、との指摘を受けるシーン。大変失礼なのですが、ちょっと笑ってしまいました。すみません。カステラもらっただけなのに野良猫と言い放つあたり、やっぱり我が子なんでしょうか。鼻が利くんでしょうか。この三連目がこの詩の重要な連になっていると思います。トーンも明るく、そのまま四連目へと引き継がれていて、新しい野良猫宣言を掲げるまでに至ります。やけっぱちとかもなく。でも、ラストの一行の本音がまた、響きますね。飼い猫になりたかったのか、と、ほろりとしました。とても良い詩ですね。紫陽花さんの詩でした。紫陽花さんは、タイトルのつけかたも良いですよね。読んでみたくなるタイトルばかりです。タイトルも結構重要で、私なんかは最後につけるタイプなんですが、悩んで悩んで普通のタイトルになるタイプですので、紫陽花さんのタイトルセンスがうらやましいです。佳作といたします。
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以上、7作品のご投稿でした。
皆さん大変お上手で、勉強になりました。
ありがとうございました。
大変遅れましたが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。