妻の夢が聴こえた 荒木章太郎
毎晩妻に
背中を向けて
眠るのは
海象である
醜い牙を
見せたくないから
最近牙の重さに
体が耐えられなくて
寝返りができなくなった
ある晩背中で流れる
君の寝息に耳傾ける
真夜中の水族館で
迷子で泣いてる夢が聴こえた
自分冴えよければよいと
必死に伸びるそんな牙は
抜こうと思った
毎晩妻に
背中を向けて
眠るのは
海象である
醜い牙を
見せたくないから
最近牙の重さに
体が耐えられなくて
寝返りができなくなった
ある晩背中で流れる
君の寝息に耳傾ける
真夜中の水族館で
迷子で泣いてる夢が聴こえた
自分冴えよければよいと
必死に伸びるそんな牙は
抜こうと思った