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スレッドNo.3521

かいじゅうと十姉妹のうた  荒木章太郎

かいじゅうの
うたが流行っていた
はるか昔にも違う歌詞で
かいじゅうの
うたが流行っていた

バリケードを作り
闘っていた人達が
まとまってうたっていた
その後懐柔され
十分に研究され
なし崩され
散らばった父母から
僕は十姉妹に生まれた
世間から始末されることを恐れ
野生にもなれず
かいじゅうを夢みていた

やがて空を舞うことを諦め
翼を捨て足を鍛えて
疲れ果てた靴を産む
靴は時代に取り残され
かつて僕が蹲った場所にいた
帰ることのない母が戻るまで
意地になって待ち続けた
未熟な林檎の頬をした少年
アジテートして
ストライキしていた

かいじゅうとは何か
今一つ分かっていない
自分を抱きしめる意味が
今一つ分かっていない
故郷のバス停で
その少年がしゃがみ込んでいた
肩の強ばりは理解できる
黙って抱き締めればよいのか

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