2月6日火曜日から2月8日木曜日までのご投稿分の感想と評です。
2024年2月6日火曜日から2月8日木曜日までのご投稿分の感想と評です。
「雪が降る静寂の中は」 積 緋露雪さん
積 緋露雪さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
今年は関東にも積雪がありました。
急に寒くなり、あっという間に雪景色が広がりました。
幼稚園児の皆さんが楽しそうにはしゃいでいるのを見ながら、
翌朝の路面凍結を心配してしまった私です…。
僭越ながら御作「雪の降る静寂の中は」の評を送らせていただきます。
主人公は外に広がる銀世界から無音に刺激され、頭蓋内でその無音と
戯れます。雪から感じる無音に惹きつけられます。
<頭蓋内でむしりむしりと雪を丸く固めては、それを地球に見立てて
蹴飛ばすのである。
いいですね、ここ。地球から宇宙まで規模は拡大します。
<ばしっといふ音と共に砕ける雪。
で、その衝撃の強さを感じます。それでも怒りや鬱憤ではなく
「快楽(けらく)」感じ、大いに楽しんでいます。
<頭蓋内の銀世界には
独り私の足跡のみが残されてゐた。
それを見て吾は何か嬉しさに心が囚われ、
雪降る虚空を見上げたのであった。
頭蓋内の銀世界の余韻が残りました。
雪には想像をかき立てる何かがあるようです。
御作佳作とさせていただきます。
「その手、その温度」 理蝶さん
理蝶さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「その手、その温度」の評を送らせていただきます。
「その手」を持つ人のあたたかさと痛みを知り、感じているからこそ
求める。あなたなら出来ると励ますような思いも感じます。
その思いで包み込もうとする。「懐かしい雨」は二人だけの思い出の
雨なのでしょうか。涙のような温度をもった雨を感じました。
「その手 その温度で」の言葉が後半になるにつれて強く響きました。
温度を感じる一篇でした。氷なのですが、「その手」を求める
思いは熱く、求めながら慈しむ心を感じました。
御作秀作プラスとさせていただきます。
「生きてこそ」 喜太郎さん
喜太郎さん、今回もご投稿下さりありがとうございます!
僭越ながら御作「生きてこそ」の評を送らせていただきます。
<生きるのに精一杯なんだよ
この言葉にぐっと掴まれました。
<胸を張って腹一杯に酸素を取り込んでみろよ
そして新鮮な酸素を血液に混ぜ込んだら
身体中に巡らせて
余分なものはネガティブな思いと一緒に吐き出
しちゃえよ
と、この詩は社会批判や憂いではなく、本当に生きていること
人間の身体の営みに目を向けています。
情報が何でも入り、可視化できる今。自意識過剰が加速して
心身の消耗が激しく壊れてしまう心が増えました。
この詩はそんな心に今を生きること、生きていることを
感じるように強く訴えかけます。
~でなければ!と視野が狭くなって、自分を追い詰めて
しまった心がふっと我に返って周りを見る。空を見上げる。
かたくなった表情がゆっくりほころんでいく様子が見えた
ような気がしました。
御作佳作とさせていただきます。
「心の日記」 埼玉のさっちゃんさん
埼玉のさっちゃんさん、初めまして!
ご投稿くださりありがとうございます。
初めての方は感想のみとさせていただきます。
ご了承ください。
<あの時があったから
今がいいと思える
ここ、良いですね!あの頃に戻りたいというような
ノスタルジーではなく、過去の経験が今に活きている
充実したものを感じます。
大切な人が笑顔でいてくれたら他に何もいらない。
そう思える人と出会えた幸福があります。
人に対して、その存在を愛し、喜べことができる
その心が幸福であり、そう思えることが幸福で
あるような気がします。
あたたかく心地よい風が通ったような一篇でした。
次回もご投稿お待ちしております。
「猫の仕事」 紫陽花さん
紫陽花さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「猫の仕事」の評を送らせていただきます。
猫カフェの裏でこんなことがあったとは。
のんびりゆったり見える裏で、その日その日を必死で
生きている猫たち。自分たちの都合のために生き物を囲う
人間は残酷です。その中でも順応して生きていく猫の
強かさ。猫検定とはどんな内容なのでしょう。
面接等あるのでしょうか。なんと健気な。想像がめぐります。
猫も働かなくてはならないなんて、世知辛すぎる世の中です。
猫の手も借りたいなんて軽々しく言えません。
猫カフェ「ゆるり」の物語を知りたくなりました。
魅力的な一篇でした。御作名作といただきます。