嘘降る日には嘘を煮詰めて 紫陽花
夕日を見送りながら
また来週火曜日11時に会おう
そんなふうに毎度
君は軽く次会う約束をしてくる
けれどそれが実現されるのは10回に1回くらい
嘘だ嘘だ嘘にまみれている
こちらのスカートは当店1点ものでございます
私が買った後 倉庫から1点ものの2点目を
出してくる店員を見た
ここにも嘘が
嘘だ嘘だ大嘘だ
あさり大好きな私が
日本産と思って買っていたのは韓国産だった
だれがこんなに嘘をばらまいているのか
こうも町中嘘だらけだと私は暮らしにくくって仕方ない
じっと空を睨みつけていると やっぱり嘘が降ってきた
白いふわふわしてる嘘から真っ赤なトゲトゲした嘘まで
もうどうなってるんだか
あれが落ちたところに嘘が根ついて花を咲かす
その後 種はふわぁーっと空に上がって
いつの間にか風に乗って降ってくる
穢れのない嘘から誰かを陥れるような嘘まで
嘘はなんて楽しそうに育つ
色んなところで色んな人で
嘘がすくすくと育つ
今も誰かがどこかで嘘を吐いている
相手の事なんて一切お構いなしに
さて人類の英知も進んできて
最近は花粉飛散情報ならぬ
嘘飛散情報まで分析され夕方のニュースで流れる
人々はより注意しながら毎日を過ごしている
なにせ嘘は人の心を弱らせることが得意だから
きっと医学の進歩で体が弱りにくくなったから
その代わりにこんな衰退を神様が用意したのだろう
私はちょうど落ちてきた
真っ赤なトゲトゲした嘘を手に取る
攻撃的な嘘が大嫌いな私は
家でベリーと煮詰めてジャムにしてしまう
案外ほろ苦くて美味しくて
食べてしまうと2日ほど
ねっとりとした甘い嘘がつけるようになる
だから私は最高の笑顔で
今日は君に 君の事が大好きだと囁いている
もちろん君だって笑顔だ
こうやって稀にある
今この瞬間 誰かを幸せにする
嘘なんてものを今日は吐いている