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スレッドNo.3636

季節は巡っていない     akko

枝から春の芽がぴしぴしと音をたて
メジロは樹に残ったみかんを食べつくし
水仙は降りかかった雪をはらい
みな冬をやり終え、春に向かっている

だが庭のケヤキの枝に一枚だけ残る葉は
裸木の小枝にとどまっている薄茶色の葉は
我が家での最期の入浴となった日の
ガウン姿の心細げなあなた

暗く重い冬をくぐり
雨にも強風にも散り落ちもせず
枝にしがみついて
いまなお頑なに春を拒んでいる

無理はない、無理もない
四月のあの日から
我が家の季節は巡っていないのだから

生きているということ
今生きているということ

あした、アネモネの苗を植えよう

編集・削除(編集済: 2024年03月05日 21:03)

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