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スレッドNo.3645

北の庭には黒猫が歌う 紫陽花

陽の射さぬ北の庭を好むのは
孤独な私とクリスマスローズだけ
世のすべてを呪いながら
この花は私にやさしく語りかける
幸せになれると思った 
あなたを神だと信じていた時は
今宵もそんな声が聞こえた気がした
そんな時 私は庭を想う

月の無い闇夜は本当に寂しい
でもどこか安心感もあり
私は眠れぬ夜に庭を眺める
そこにはただクリスマスローズだけが
白く浮き上がるように咲いている
そしてその花のもとには
いつも痩せた黒猫がいた

痩せた黒猫は白い花びらをちぎる
限りなく透明な雫が流れ
その滴りに唇をつけてすする
黒猫は歌い始める 一晩中 
時折こちらを見ながら
低く低く 時にかすれた声で
ときに白い花びらをちぎり
滴りで喉を濡らす
私はそれをいつもただ見ている

やがて月が昇ってくると
クリスマスローズの白さは闇に溶け
黒猫のいた場所には
ただ黒い土が盛り上がっている

編集・削除(編集済: 2024年03月07日 21:40)

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