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スレッドNo.3656

堀端  理蝶

堀は そよ風に触れ
槌目のように細かにされて
あくびの空を 朧に映し出す

鯉は気まぐれにうねり
風がほどこした意匠を崩してゆく
少しすれば そよ風がまた
堀を仕上げに帰ってくる

水辺の立ち木に カワセミが一羽
空を煮詰めた背と ひだまりの腹を抱いて 
水面をじっと睨む 
鉄砲もなしに 打ち出された青い弾丸は
やごを啄み 風に逆らい消えていった
のどかなようで 厳かな彼の昼食

ここには 僕のほかに
誰もいない 誰もいないよ

誰のためでもない
ただここにある景色
街が入り組んでゆく その陰で
ひたむきな命が重なっただけ

せめて邪魔しないように 
僕は静かにいるよ
像にでもなったつもりで
僕は静かにいるよ

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