「し」の輪廻 理蝶
詩
生活という熟語にふった
温度のあるルビ
詩
真夜中に発火する
ひらめきのアンプリファイア
詩
地図にない番地にある
夢みる人の溜まり場
詩
無限の枝葉を抱えた
薫り立つ大木
詩
やさしい人に下される
褒美であり罰
詩
儚いようでいて 実は
生にまっすぐな 強かな営み
志
一つの詩がここに生まれ
死
一つの詩がここに終わる
志、詩、死
ひとはいつの時代も繰り返す
この輪廻に加わるひとの列は
遠くまぶしい先まで 脈々と続いてゆく
僕も その途方もない列の
ほんの一粒として 並んでいる
新しい志 新しい詩 新しい死
遠い空の下 刻一刻と
湧き立ち 紡がれ 忍び寄る
このワンルームにも 刻一刻と
湧き立ち 紡がれ 忍び寄る