折り鶴 荒木章太郎
病室に横たわる
絶望に宛てて
毎日のように
千羽鶴が届けられた
丁寧に折り畳まれた
顔のみえない優しさが
この部屋を覆い尽し
捨てられたアルミニウムと混ざり合う
溶け出しはしないかと息を殺した
電子レンジで燃やすわけにもいかない
仕方なく千羽鶴の中から
二羽を取り出し
後は捨てることにした
回収業者に申し訳ない
押し付けられた願いが
行き場のない怒りに変わり
部屋中に響き渡るものだから
折り鶴の腹に
そっと息を吹き込んでみると
やさしさが膨らみ
希望が息を吹き返した
病室に横たわる
絶望に宛てて
毎日のように
千羽鶴が届けられた
丁寧に折り畳まれた
顔のみえない優しさが
この部屋を覆い尽し
捨てられたアルミニウムと混ざり合う
溶け出しはしないかと息を殺した
電子レンジで燃やすわけにもいかない
仕方なく千羽鶴の中から
二羽を取り出し
後は捨てることにした
回収業者に申し訳ない
押し付けられた願いが
行き場のない怒りに変わり
部屋中に響き渡るものだから
折り鶴の腹に
そっと息を吹き込んでみると
やさしさが膨らみ
希望が息を吹き返した