3/26〜3/28までにご投稿分の評と感想です。 滝本政博
3/26〜3/28までにご投稿分の評と感想です。
一生懸命読ませていただいておりますが、見当はずれな感想になったりする場合もございます。そのように感じた場合には、そんな読み方もあるのだとスルーしていただけると助かります。どうぞ宜しくお願いいたします。
「Energy Wave」 益山弘太郎 3月26日
はじめての方なので感想となります。
詩の中で一つの奇跡がおこります。
<すぐ暫く宵闇迫りビル3階明かりが灯った
すると どうだろう
街中へと 愛が 溢れかえった のだ
東京湾の 方から さざ波が 聴こえてくる
街は 潮騒に 包まれて いるよ>
このあたりの書き方、感覚、面白いです。光が愛に変換され潮騒に包まれる。美しいイメージであります。
小さな初老の男とは何者なのか、SFのようにも読めます、太古の昔から生き延びてきた神のような賢者なのでしょうか。大いなる推知の比喩なのでしょうか。
一、二連と、六連から最終連に、もう少し関連や統一感を打ち出せればさらに良くなると思います。
エネルギーに満ちた詩で、推敲するとさらに良くなるでしょう。
数字表記ですが、縦書きにした時のことを考えて、一〇〇年 五〇〇年 一五〇〇年 二〇二二年のような表記が見栄えがいいかなと感じました。
文章がぶつぶつと単語で区切られていますが、私の感覚では分断しすぎです。効果をあげている部分もあるのでもう少し整理して、繋げて書くところは繋げましょう。
また書いてください。
「寄せ書き」 喜太郎 3月26日
佳作とします。
<あの子から手渡された寄せ書きの色紙>
この詩の書き出しがとてもいいです。色紙が唐突に目の前に現れた新鮮さがあります。
本文18行の詩ですが過不足なく言いたいことが書かれていて好感が持てます。
最終行
<うん 元気を忘れないよと心の中で呟いた>も
余韻があり、良い表現だと思います。
作者の気持ちがストレートに出ています。
寄せ書きに書いた「いままでありがとう」という言葉がいいですね。いろんな感情の詰まった言葉であり、とても胸を打ちます。
文中の表記の「見れない」ですが
学校文法での規範的言い方では「見られない」です。
方言としては中部地域で、また関西以西で一段活用での受身&尊敬態との分別性を持たせた可能形として「見れない」が通用しています。とのことです。
また書いてください。
「居ない」 あこ 3月27日
はじめての方なので感想となります。
居るはずの人がそこにいない、不在感、喪失感を短く端的に書いた詩であると読みました。
ラムネの比喩が効いていて、よく書けていると思います。
連分けに行間を多くとっていますが、一行か長くて二行取りで書くようにしましょう。そうじゃないと読みにくいし、今後も変な癖がついてしまいます。連分けに二行以上の空白の行を取る場合は、それによって特別な効果がうまれる場合に限って行う方がよいと思います。
三浦志郎さんが詳しくアドバイスされていました。そちらを参考にしてください。
この詩でいえば、下記の感じでしょうか
不思議だね
居る筈のひとが
居ないのは
ラムネの球は
何処へ行ったの
最後の二行ですが、私なら
<ラムネの球は
いつも瓶の喉にあるのに>
とするかな。これは好みかな。参考までに。
今回の短詩は一つの挑戦だったのでしょうか?短詩は短いセンテンスで言いたいことを的確に述べねばならず、難しいものです。少し長めの、10行くらいの作品を数書くと上達が早いかもしれません。
また書いてください。
「コミュニケーション」 相野零次 3月28日
はじめての方なので感想となります。
前半部分、かっこいいフレーズが多くあり読ませます。
最終連は一見ナンセンスなようで、意識の流れをそのままに書いていて、自動筆記のようで面白いし、興味深く読みました。ユーモアがあるのも好感が持てます。言葉が溢れて出てくる感じ。
面白い構成ですが、前半と後半の結び付きが弱いように感じました。タイトルはよいです。このタイトルがあるので前後が繋がります。
詩は散文ではないので、必ずしも論理的に書く必要はありませんが、何らかの連続性、整合性(感覚的なものであれ)は必要なのではとお思います。少なくとも、読後に違和感がありました。感じとしては、前半と後半の詩が別物であり、それを並列に並べた感じでしょうか。
前半と後半を別の詩として作成することも可能ですし、現状のスタイルにこだわるのなら、書き方にもう一工夫必要な気がします。
また書いてください。