ポテトチップス 相野零次
ポテトチップスを食べる
いろんな味がある
僕たちと同じように
塩味を食べる
汗の味 海が流す涙の味
地球にも同じように
パリッと口の中で割れる
卵の孵る音……
ああ なんてこと!
僕たちの知らないうちに
僕たちが子供たちを産んでいたなんて
もっとたくさん食べなきゃならない
もっとたくさん生まれてきて!
ウミガメさんそんなに泣かないで
嬉しいの悲しいのどっちでもいいけど
待って雛鳥たち!
先に生まれたお兄さん
だめだよ弟妹たちを蹴っ飛ばしちゃあ
鮭さんそれ全部卵なの!?
多すぎない面倒見れるのそれって
えっほとんど食べられちゃうから
仕方ないって
ああ ごめんなさいごめんなさい!
僕でした 僕が食べてました
だってパリッてたくさん産んで
僕もお母さんになりたくて
お父さんになりたくて
違うの 食べすぎはよくないって
なーんだそんなこと
ポテトチップスを食べる
みんなで食べる
僕と同じように
食べることで
僕らは生まれる
みんな同じように
かけがえのない何かがある
食べることに感動がある
お母さんあなたもですか
じゃあこうしましょう
お母さんも隣にお父さんも
親戚の皆さんもご一緒に
先祖さまも子孫たちも
食べ終わったら
お気に入りの水着か
はだかんぼで
空へ泳ぎにいきましょう
次はあまーい雲ですよ