しかめっつらのピエロ ふわり座
僕のあだ名はピエロ
皆んなを喜ばせるのがたまらなく大好きな高校生だ
でも皆んなの笑顔は好きなくせに僕は笑顔を
つくるのが下手で大体いつもしかめっつらを
している
そんな僕にも例外はある 大好きなあの子の
恋のキューピッドにはなりたくないということだ
学校の帰り道誰か喜ばせたいなと思いながら
街をぶらぶらして家路についた
僕を待っていたのはいつも通り
誰もいない真っ暗な部屋だった
喜ばせる相手がいないことほど寂しいことはない
これじゃしかめっつらにもなるよね
早く明日にならないかな
さっさと寝てしまおう
朝だ よし 今日も皆んなを喜ばせて僕も
笑顔になるぞ
しかし何かイヤな予感がする
なんて思いを抱きながら歩いていると道の真ん中に
大好きなあの子が立っている
難しい顔をして誰かを待っているようだ
彼女が僕に近づいてきた
どうやら僕に用があるらしい
どうしてイヤな予感て当たるのだろう
彼女は僕に恋のキューピッドをやって欲しいという
断れるはずもなくしかめっつらで
彼女の言うとおりの場所へ行くと
女の子が一人でぽつんと立っている
どういう事だ女子同士の恋愛なのか その子は僕に
「あの子あなたの事好きだから付き合ってあげて」
と言う 願ってもないことだ
いつのまにかしかめっつらは笑顔に変わっていた
急いで彼女のところに戻ると彼女は
少し微笑みながら一歩ずつ近づいて
僕の肩に頭を乗せて
「好きだよ」と言った
僕は黙って彼女を抱きしめた
これからはしかめっつらのピエロはもういない
笑顔のピエロが皆んなを 彼女を喜ばせるだろう