評ですね。4月12日〜15日ご投稿分 雨音
「喪失と成熟の節理」上田一眞さん
上田さん、こんにちは。すっかり初夏の陽気ですね。
作品拝読しました。佳作一歩手前です。
まず最初にお伝えしたいのですが、この作品は上田さんにとってとても大切な作品、島さんの言葉をお借りすると代表作のひとつになるようなものだと思います。もちろん、自分の作品ってどれも大切ですが、特に大切に手を入れて欲しいと感じるものでした。
上田さん自身、きっとどうやって構成しようか、どうやって読む人に伝えようか、とすごく考えて試行錯誤されたのかなと推察しています。冷静に淡々と書きたい、という気持ちがあったのではないかしら。その一方で溢れる思いが字間から見え隠れしていて、内容の重さに対して、抑えられた感情、そうした全体のバランスがとても取れています。
ただ、その気持ちが少し強かった分、「思う」「思った」「思った」が最後三つ重なってしまったようです。そこがすごく残念でした。前半にも一箇所出てきます。全部なくすか、ひとつ残すか、ということで、ひとつ残すバージョンでやってみますので参考にしてください。
<おとな>になるとは
成熟するとは
哀しい事柄なのだろう
生きとし生けるものにとって
(ここに入っている連はそのまま)
直感的にそう思った
傷ついた心を癒やそうと
夜空を見上げ
星々の煌めきに包まれた時に
そして
(中略)
何かを失ったのだろうなと
あくまでも参考に。思うは減らしたほうがいい、というのは提案で、上田さん流にやってみてくださいね。
「なかよくね」じじいじじいさん
じじいじじいさん、こんにちは。
一年生が仲良く歩いている季節になりましたね。じじいじじいさんのお近くでは一年生以外も黄色い帽子をかぶっているのかな?この辺りでは一年生だけなんですよ。
ランドセルや通学用の帽子をチューリップに見立てているのはとても素敵ですね。一年生の初々しさもチューリップから溢れています。後半、「わたし」が学校が嫌いだ、という部分で、作者が一年生でないことがわかります。語感から察するに二年生なのかなと想像しています。じじいじじいさんはひらがなで書くと決めておられるので、これについてはお伝えしても仕方ないかもしれませんが、二年生ならやっぱり漢字が混じっているほうがいいかもしれません。そこに重みが出るので、より伝わるかもしれないと感じます。
佳作一歩手前です。
「人として生きる」相野零次さん
相野さん、お待たせしました。
人として生きる、そうして神に戻るのですね。
すごく面白い発想です。まず、天使の羽、悪魔の尻尾、そうか、悪魔には尻尾があるんだなとか素直に物語を読んでいるような気持ちになりました。短い作品なのですが、そうした力がありますね。一方で、短い作品だからこそ、細かいところに少し配慮が必要です。
例えば、一連目ですが、この連はこの作品を象徴していてグッと心を掴んでくるのですよね。ところが、私は実際にここで迷いました。
僕は 失くした天使の羽を、なのか、僕は失くした 天使の羽を、とどっちにもとれて、三行目四行目まで行ってから判断しました。これってね、すごく勿体無いと思うんです。すごくいい部分だから一気に物語の中にどっぷり浸かることができるようにしたいなあって。すごく小さなことなのですが、短い作品だからこそ目立ちます。
それで次回から、実際に声に出して読んでみてください。そうして細かく修正してみていただけたらと提案したいです。
「しかめっつらのピエロ」ふわり座さん
ふわり座さん、こんにちは。
ピエロさんの恋の行方を追いかけて、そわそわドキドキしてしまいました。
「願ってもないことだ」につい微笑んでしまいました。この展開は面白かったですね。
勿体無かったのは、「女の子」「彼女」「あの子」「その子」と出てくるのですが、それがちょっとこんがらがって、「ちょっと待って、ちょっと待って、どっちがどっち?」となりそうです。少し工夫が必要みたいなのですが、どうしたらいいのかなと私も悩んでいます。一つの案としては「あの子」を「彼女」に統一する。女の子=その子の部分も、わかりやすいように、もう少し改行して整理してみるといいかもしれませんね。
そこが一番気になりました。
ふわり座さん、書く作品のバラエティが広がってきましたね。すごくいい傾向だと思います。次回も楽しみにしていますね。佳作二歩手前でした。
「幸先のいい朝」温泉郷さん
温泉郷さん、こんにちは。お待たせしました。
うん 素敵な作品!と最後に同じリズムで口ずさみました。とても良いですね。構成も良いし、リズミカルで、そして、なんと言ってもストーリーが良いです。小さな幸せが詰まって、良い朝を始められたこと、一連目においておいた憂鬱さを吹き飛ばしてくれたのですね。絶対良い日が始まりそうです。今回初めてでしたので、評価はつけませんが、気持ち良い作品で心に残りました。どうもありがとうございます。
「走る意味」大杉司さん
大杉さん、お待たせしました。今回のトリは大杉さんです。
この作品の最初の二連がとてもいいなと思いました。何かが始まるんだろうと思わせるような静けさが漂っています。三連目が起点になって、四連目から変化がつくのですよね。この変化が少し唐突に感じたんです。それで、一番簡単な直し方として考えついたのは、四連目を少し入れ替えることでした。ほら前向いて〜からの二行を前に出して四連にして、生きる意味とは何?からの三行を一連増やして五連目とする、といいかなって。三連目の「走り出す」からのつながりが自然に感じられるかもしれません。小さなことなのですが、起伏という意味でもそのほうがいいような気がします。お好みなので、ちょっと考えてみてくださいね。あくまで提案です。佳作二歩手前です。
:::::
今日は半袖を着ています。新緑が美しくなってきましたね。
季節の変わり目、新年度も始まって、疲れも溜まってくる時期ですね。
みなさんどうぞお身体に気をつけて過ごしてくださいね。
今日もお疲れ様です♪