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スレッドNo.3851

感想と評 4/19~4/22 ご投稿分 三浦志郎 4/27

1 上田一眞さん 「みいちゃんと木苺」 4/20

ひと口で言うと良い詩です。文学的香気も感じることができます。当然ながら木苺(蛇苺)について調べました。学術的、分類的話柄はこの詩の主旨ではないので措きます。この詩は二つの点において注目、評価できるのです。まずはひとつ目。これは叙述上のこと。
この詩はもちろん①円熟した大人の上田さんが遥かな過去を思い出して書いたことは明らかなんです。ところが、②まるで当時の実況のようなライブ感覚があり、過去をそのまま現在進行形に乗せた背景がある。作者が当時に成りきって書いている。
① : ②=10% : 90%くらいの比率で僕は見てます。そこに僕は詩の価値を見出します。
次にふたつ目。こちらは詩の心情的なこと。
この詩に見る兄・妹の仲の良さがうるわしい。妹は兄を心から信頼し楽しいひとときを満喫している。いっぽう、兄は妹が可愛くてしようがない。喜んで楽しく世話している。「彼女の好きな夏の到来だ」や終蓮によってそれはすでに明らかです。こういった両人の消息がセリフの中で生き生きと綴られます。上記のふたつは、言ってみれば、ハードとソフトで両輪を成しているかもしれない。
結果としての佳作です。


2 詩詠犬さん 「Skimaくん」 4/20

当然のように「ニッチ」という言葉が想起されます。もともとビジネス寄りの言葉ですが、原初の意味はまさに「隙間・Skima」ですね。
この詩は面白くも賢く人・物・場所・時間の真理を衝いている。隙間=余地、余力、“遊び”をも意味するでしょう。「隙間くん居なければ 息苦しくもなっちゃうよ」―このあたりがそれの最たるものです。場所や背景の設定も上手く考えられ(なるほど)と思えるものです。この詩の発想自体も、誰もあまりカバーしないところを衝いてきた。詩世界でも上手く隙間を狙ってきたわけです。
最終連―(これが言いたかった?)―どうやら結論が出たようですな。こちらはSkimaくんと仲良しの“佳作くん”にご登場願いましょう。


3 相野零次さん 「やさしいうた」 4/21 初めてのかたなので、感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。
やさしいうた、やさしい詩です。童話の一部分から現れたような気もしました。全てが良い発想、良い記述なのですが、とりわけ印象的なのが「びょうどうに ふりそそぎます」「なみだのおちるおとを こーらすに」「ないたあとは はれわたります」などでしょう。陽の光、雨が降り注ぐように地球全部に降り注ぐやさしいうたがあってもいい、そんな発想。世間の多くの場所でBGMといったものが存在しますが、全世界に降り注ぐやさしいうたがあってもいい、そうすれば戦争など無くなることでしょう。そんな願い。評者はなかなか感動しました。新聞にもたまに詩が載りますが、こういった詩も載れば嬉しいです。
ぜひ、また書いてみてください。


4 あこさん 「たそがれ」 4/22

たそがれの中で思ったこと。それが人の最期の迎え方だったようです。
これは実際に想起されたことと推測されます。
「助けてくれと願いながら」か?
「からだ中の愛だけを胸に」か?

当然、あこさんは後者を願っているわけですが、「私のなかの無数の貴方とともに」が最も詩的であり想いの重量を感じています。
ところで、最後の集団「あの人のための~」から最後まではフォークシンガー吉田拓郎楽曲「人生を語らず」の3番歌詞そのままです。そのつもりで、大幅文字空けをしたのでしょうが、それだけでは不十分で、これは注釈とか引用紹介を絶対すべきです。そうでないと、あこさんの立場を危うくする可能性があります。評価は保留にしておきます。


5 森山 遼さん 「世界内存在」 4/22

まずは「存在」ということです。それに関わるに自分(わたし)と君(他者)がいます。その関係において自分は君を信じる。信じる力を感じる、というもの。後はよくわかりませんでした。
前作と今作を読んで(ああ、こういう書き方をする作者さんなんだ)と概ねわかる気がしました。
具体的に言うと、短い言葉の連続(ex ただ、君、なぜ、だから、もう すべて)と断片的なショートフレーズです。
僕は①詩は平文・小説と違い、必ずしも100%伝える必要はない、と思っています。
ただし②何がしかの匂わせ、暗示、象徴によって、一定のイメージを読み手に与えるべき。
―と考えています。この書き方だと、②もなかなか難しいと思えてくるのです。
よく言えば作風、悪く言えば―大変失礼ですが―クセのようなものかもしれない。
これは直したほうがいいです。もう少し各文節に意味を持たせ、各文節を繋いでひとつの流れを作ることです。そこに必然的に②も出て来るはずです。②までは持っていく試みをしてみてください。今の状態で行くと、いつか壁にぶつかる気がします。 佳作二歩前で。


6 静間安夫さん 「旅立ち」 4/22

前作とガラリ、フィーリングを変えてきてます。いわば”独白詩“といった雰囲気です。忘れないうちに言っておくと、2連、けっこう時代がかった内容なので「ステージ」よりも「舞台」のほうがいいかも。
内容はこの通り、額面通りでしょう。なかなか気概があり“きっぷ”のいい人物ですね。まあ、こうじゃなきゃ、やっていけない稼業だったでしょう。ここで押さえておきたいのは、旅とは普通、非日常ではありますが、この竹本孫太夫さんにとっては旅こそが常態。そういう彼にしてみれば、死も旅の延長、拡大解釈の中にあるとも考えられるのです。覚悟のうえで、あるがままに受け入れる、といったところでしょうか。いや、むしろお芝居のように賑やかに迎え入れかねない勢いですね。
勢いといえば、まだ当分死なない、そんな気さえ起こさせる孫太夫殿ではあります。今回、読んで面白かったです。ただテーマへのアプローチ法としては割とありがちな気はします。佳作半歩前で。

アフターアワーズ。
この一座と主人公の名前は架空ですかね。


評のおわりに。

さて、ゴールデンウイークです。皆さん、いろんなプランをお持ちでしょうね。
されどミウラ、人並みの休みあるも、理事会、親戚来訪のみ。
後は行くアテなし。詩のネタなし。行きつけのジャズ喫茶に行って、
ジャズ魂でも体内注入してくるか! では、また。

編集・削除(編集済: 2024年04月27日 17:35)

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