町に下りたバーバ・ヤーガは 紫陽花
人類の進歩につれて
森が子供が減ってきた
どこでも電気がつけられて
明るくなった
世の中に妖怪なんて
怖がられもしなくなった
そんな森がつまらなくなった
バーバ・ヤーガはついに山を下りた
勿論これからも子供を食べるつもりだが
子供がいなくては話にならない
さあて どこで子供を選ぼうか
5歳くらいのこどもが一番美味しいが
贅沢なんて言ってられない
小学校なんてどうだろう
それも放課後児童クラブ
きっと子供があふれている
その上モンスターペアレントなんかが
いるようで働く人が不足らしい
先に町に下りてた
バーバ・ヤーガつながりで
すぽんと入れた児童クラブひなた教室
もちろん1年担当だ
そうして今日は新年度1回目の教室だった
しんたろう君に まおちゃんに
総勢10名名前も覚えた
命だ命だ 元気な命だ
吸い込もう溢れんばかりのエネルギー
森を下りたバーバ・ヤーガが食べるのは
あまり余った子供たちのエネルギー
教室始まりの大きな挨拶
音読や計算カードを読む元気な声
ドッジボールで跳ね回る音
縄跳びを取り合っての喧嘩
転んで泣きじゃくって
いつの間にか笑い転げて
一年生たちはもう止まらない
町に下りたバーバ・ヤーガは
しんとしたあの森を
あの一人ぼっちの孤独を
だんだん忘れつつある
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バーバ・ヤーガ
子供が好きな魔女ですが。色んな書かれ方をされてます。良い魔女の時も悪い魔女の時も。