書けない 司 龍之介
何も書けない
どうしたらいい どうしたら
もうお終いか これまでか
終わらすわけにはいかない
それでも生きていかなきゃならん
書けないからといって
死ぬわけにはいかない
しかし、さりとて、何も書けない
もういいや、いいのか、放り出そうか
一体詩を書いて何になる
何にもならないじゃないか
今まで詩が好きだから書いてきたと思っていたけど
それも甚だ疑問だ
本当に好きなのか
好きこそものの上手なれ
一向に上手にならないじゃないか
あぁ、この未熟な詩 もはや詩でもない
ただの殴り書きだ
神よ、どうして私をお見捨てになったのですか
俺の心には何もない
真空だ
こんなんじゃダメだ
ダメになっちまう
何とかならないのか
あれもこれもとぶち込んでやれ
天使様 守護霊様
あああ
さらば青春
さらば友よ
全ては消えた
我の幻想だったのだ
何も書けないんじゃない
何も書きたくないんだ
俺の胸の内を晒して何になる
血を噴き出させて何になる
見よ、あの山のてっぺんを
何もないではないか
てっぺんに行けば黄金があるのかダイヤがあるのか
いいや何もない
ただ登るために登る それが山だ
ああ書ける書けるぞ
何でも書けるぞ
いや 何も書けない
それだけだ
もはや後戻りできない
書くしかないんだ
何年も思ったことじゃないか
俺には書くしかないんだって
どうしてくれよう
もはやそれさえもあてにならない
絶望
ハッハッハ
笑うしかないようだ
笑ってくれ みんなで笑おう
はい、せーの
ワッハッハ
王の様に笑うんだ
ワーハッハッハー
以上でバカ芝居は終わり
めでたし めでたし