立秋 麻月更紗
植木に水をまく女性がいた
麦わら帽子をかぶり
黒く長いワンピースを着て
あたりは蝉が鳴き
西日に照らされている
私の首筋には汗がつたっていた
なのに彼女のワンピースは涼やかで
銀色に光る水滴をふりまいている
恵みの雨に植木は潤う
緑が輝く
ああ その水を私も浴びたい
夏の日差しに弱った木々のように
私は疲れ果てていた
なんでもいい
命を与えてほしかった
どこかでヒグラシが鳴いている
けれど
夏はまだ終わらない
植木に水をまく女性がいた
麦わら帽子をかぶり
黒く長いワンピースを着て
あたりは蝉が鳴き
西日に照らされている
私の首筋には汗がつたっていた
なのに彼女のワンピースは涼やかで
銀色に光る水滴をふりまいている
恵みの雨に植木は潤う
緑が輝く
ああ その水を私も浴びたい
夏の日差しに弱った木々のように
私は疲れ果てていた
なんでもいい
命を与えてほしかった
どこかでヒグラシが鳴いている
けれど
夏はまだ終わらない