2024年5月28日から5月30日までのご投稿分の感想と評です。 夏生
大変お待たせいたしました。
2024年5月28日から5月30日までのご投稿分の感想と評です。
「想像とintonation」益山弘太郎さん
益山弘太郎さん、初めまして!
ご投稿くださりありがとうございます。
初めての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
では、僭越ながら御作「想像とintonation」の感想を送らせていただきます。
<君は突然窓のブラインドゥを上げると
部屋の中から飛び出してきた
想像が一気に飛び上がります。
次の展開
<ラトビアの森林から
果実の実が塩漬けにされた花瓶に
太陽の光が反射している
君はどうしたのか考える間もなく
展開されていきます。勢いがあります。
夢の中にいるような、辻褄の合わなさが面白いです。
<このランプの下でいったい
何年の月日が揺らめいているのだろう
次の想像が展開されます。
<人工衛星が墜落しかねないぞ
君の力でなんとかするんだ
「きみ」は誰なのか。主人公か別の登場人物か
読み手か。はっきりしない面白さは詩の醍醐味です。
自由に展開されていく勢いを爽快に感じます。
4連目から雰囲気が変わります。
舞台裏のつぶやきのようです。
5連目は銀河まで広がります。
<異星人が果実を狙っている
<この星の独立は保たれるのか?
と不安が過ります。
6連目は夢から覚めたようです。
幸福感を感じる最終連。
自由な想像が一篇の詩に昇華されていました。
ユニークな一篇でした。
次のご投稿をお待ちしています。
「闇夜のカラス」 喜太郎さん
喜太郎さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「闇夜のカラス」の評を送らせていただきます。
一連目からいいですねぇ。誇り高きカラスが登場します。
二連目はそのカラスを見た人の視点です。
>おちょくるようにひょいひょいと
その場で煽るように
黒い目で見てやがる
人はカラスを忌々しく見ています。
三連目はカラスの視点です。
<俺はここにいる
とは、なんて堂々としているカラスでしょう。
たしかにカラスが弱々しくしているところを見たことが
ありません。何を思って、何を考えているのだろうと
興味深く見たことがありました。
目を合わせないように注意しながら。
この詩はそのとき見たカラスの心の言葉のようで
面白く感じました。
<闇夜にまぎれて逃げやしねぇよ
群れることなんてがらじゃねえ
潔く凛としたカラスです。
最後の連では忌々しく思ったカラスに
触発されたような「人」の心の変化が描かれています。
ここもいいですねぇ。忌々しいで終わらない。
「人」もカラスに負けじと胸を張るようになる。
読後、元気になれる一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。
「フラットアース・シンドローム」 香月さん
香月さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「フラットアース・シンドローム」の評を送らせていただきます。
<このまま夜空の果てへ行こうか
が繰り返しがあるところから、曲をつけて聴いてみたい詩だと思いまいました。
<あなたとわたし、手を携えて
<取り巻く重荷に別れを告げて
二人は逃避行をしようとしているのでしょうか。ロマンが広がります。
この心境になるまで様々な葛藤や困難があったのでしょう。
二人の物語を考察したくなります。
解放感への憧れと恐れが詩の周りを縁取るようにありました。
さらに展開させるか、ここまで来る経緯が描かれていますとより惹きこまれる作品に
なるのではと思いました。
またのご投稿をお待ちしております。
「タンポポ色のカーディガン」 森山 遼さん
カーディガンを羽織る人はおしゃれな人、という
私の勝手なイメージですが、憧れのようなものがありました。
自分も羽織ればよいのですが、薄手のパーカーなどで済ませて
しまいます。この詩を読んで、着られる期間は短いけれど、
季節の絶妙な心地よさを楽しめる時期にピッタリなカーディガン
は魅力的で。
タンポポ色、という表現も良いですね。春の香りを感じます。
読後が心地よかったです。
佳作半歩手前とさせていただきます。
またのご投稿お待ちしています。
「ひるむ」あこさん
あこさん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「ひるむ」の評を送らせていただきます。
お互いの顔を見る。見てしまう。その衝撃。
ひるんで顔を逸らしてしまった「私」は自分自身に立腹し
情けなさを感じます。
>意を決して もう一度視線をあげ
今度はしっかりと彼女と目をあわせ
かすかに微笑して 会釈した
顔を逸らしてしまったことへの罪悪感を感じます。
数秒前の自分の行いと悔い改めようとする行為のようです。
<プイッと 顔を逸らした
もう2度と 私を見なかった
女性の反応から「私」はさらに心を揺さぶられます。
そして「私」はこの出来事を大きく捉えます。
<あの前の自分と
あの後の自分と
どこかが確実に 変わる
変わらなければならない
なぜ、どうしてというよりも
これは自分自身の課題だと
言っているように感じました。
自分だったらどう捉えるだろう、と
考えさせてくれる一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。
「子供エネルギー発電パネル」 紫陽花さん
紫陽花さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「子供エネルギー発電パネル」の評を送らせていただきます。
とっても広い公園なのに、ボール遊び禁止、自転車禁止、木登り禁止
など禁止ばかりの公園多くなりました。なんのための公園か。
大人の運動用みたいなところもあります。こどもがいない公園のなんと
異様なことか。ベンチもない公園もあります。憩うこともできません。
安全のため、といいますが行き過ぎているような気がします。
この詩は2連まで大人中心の社会にこどもが委縮してしまった
息苦しさを感じます。どんな展開になるのか不安と緊張がありました。
3連目でこどもが大人になって科学者になって子どものエネルギーを
発電に使うことになります。見事に成功してこどもが笑って自由に
走ることができる明るい展開になりました。
ほっとして、ふと思いました。これも大人中心の社会なんだなと。
こどものエネルギーを消費するわけですから、よく考えたらかなり怖いです。
現実ではこどもを自分の欲の道具にする大人、搾取して儲けようとする大人が
たくさんいます。その影も感じました。
<地球の未来を救うのは いつだって子供だ
この言葉が、思いが世界中に広まって欲しいと思いました。
御作佳作とさせていただきます。
「祖母の好きな花」 秋乃 夕陽さん
秋乃さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「祖母の好きな花」の評を送らせていただきます。
水仙もフリージアもやさしい香りがあって、可憐な色合いは
心を元気にしてくれます。花言葉も親愛、感謝、優雅で怖い花言葉はないのだとか。
その理由から贈る花として人気が高いそうです。
この詩を読んで、「私」の「祖母」に対する愛情の深さを感じました。
一連目から「祖母」への花についてリサーチして探し回ります。
相手のために動く。相手が喜ぶことをするために苦心する。
この場合の苦心は、幸せの一部のように感じます。とても良いものです。
「祖母」の歳の数だけ水仙を買って家路へ。バラの花束はよく出てきますが、
水仙の花束はきっと明るくて可憐で素敵だろうなぁと、あたたかい気持ちに
なりました。花の香り感じる一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。