午睡 秋乃 夕陽
誰かの詩を読んでいてふと意識が途切れる
微かな自分の寝息に気づいて
少し慌てて瞼を開いた
どうやら座布団の上に座ったまま
眠り込んでしまいそうになっていたみたいだ
心なしか頭がズキっと痛くて重い
皺を寄せた眉間に人差し指と中指を添える
生暖かく湿った風が
慰めるようにスウっと撫でていった
若干斜め下に向けていた視線を
少しだけ前に向けると
テーブルの端に行き当たった
ところどころ焦茶色の表面が剥げて
子鹿のように薄茶色の斑ら模様が
ランダムに散らばっている
心のなかにも斑ら模様は入り込んで
ゆっくりと消化してゆく
「さあ、ご飯の支度しなくっちゃ」
私は本の扉を閉めて背筋をまっすぐ伸ばし
寝起きで若干ふらつく頭を押さえながら
慎重に立ち上がると
夕飯の準備をしに台所へと向かった