評ですね。6月7日〜10日ご投稿分 雨音
遅くなってしまいごめんなさい。
「シマ」理蝶さん
理蝶さん、今日は蒸し暑いですね。日曜日いかがお過ごしでしょう?
お待たせしました。
早速ですが、とてもいいですね。佳作です。
場面を切り取る力も、その場面の大切な要点をしっかり浮き上がらせている点も、過不足なく良い塩梅になっている匙加減も、どれもとても良いと思いますし、さらに個性的です。たまたま「シマ」だったわけで、書きにくかったと思いますが、読んでいる方としては全然そんなことは気になりませんでした。一つだけ、アドバイスとして参考にして欲しいのですが、〇〇さんの言葉の部分ですが、もう少しはっきりわかるように、一語下げにしてはどうかなと思いました。後半が秀逸だったと思います。
「命の温もり」上田一眞さん
上田さん、こんにちは。お待たせしました。
6月最後の一週間が始まりますね。
作品拝見させていただきました。難しいテーマに挑戦されましたね。佳作一歩手前です。ちょっと厳しいかな。上田さんなので、厳しくしました。
前半は淡々と、静かな命の最後が描かれています。その時間の静けさに打たれました。後半はそれについて上田さんが感じられたこと、と簡単にいうと二部仕立てになっています。難しさ、というのは、後半です。上田さんが感じられたことを書かれているのだと、私は感じていますが、読み方次第ではとても宗教的になってしまいます。もしかしたら、それを意識して書かれたかもしれません。もしそうならこのままで大丈夫です。でもあまり宗教的にしたくないようでしたら、少しだけ手を入れてみてください。
少女の魂に転生する / 雀の霊(たましい)
この部分ですね。そんなに一瞬で転生できるのかな、少女が雀に乗っ取られちゃうの?と私は思ってしまったんです。すみません。すごく短絡的な解釈ですよね。ただ、そういう風に読む人は、いる、ということです。上田さんが言いたかったのは少し違うんじゃないかなと。少女の優しい温かさに触れて、雀は短い命を終えたけれど、その命の大切さは少女に伝わった、二人の生きる意味は重なっている、というような意味がここにあるのかなと考え直したんです。もしそうならば、この二行は誤解を生まないように少し変えたほうがいいように思います。
少女の魂に預けられたような、とか、うまく浮かんでこないんですが、二つの魂は重なるわけですよね。雀の命はついえたけれど、少女がそれを大切にして生きていく、というような場面に繋がるような言葉をぜひ見つけてみて欲しいなと思っています。
繰り返しますが、もしも、狙いが別のところにあるようでしたら、上田さんのお気持ちに忠実にしてくださいね。これは単なるアドバイスです。そして、とても良い作品です。
「朝」相野零次さん
相野さん、お待たせしました。こんにちは。
こちらは「朝」というタイトルがとても良いと思います。それがあるからこその作品ですね。おまけの佳作です。序盤は消失願望から始まっています。消えてしまいたい、という気持ちを持っている人は多いと思います。そして、そう思わざるを得ない気持ち、を持たざるをえない状況にいる方も多いでしょう。消えたい、というのは、やり直したいが根本にあると思います。ですから、朝になり再生していく過程にとても希望を感じました。毎夜、毎朝、こうして生きていく、そんな切なさと、強さと、入り混じった良い作品だと思います。佳作でもいいかなと思ったのですが、そうですね、これを読んだ時にやはり心が揺すぶられて辛い思いをされる方もいるかもしれないなと、朝への希望が見つけられずに苦しむ方もいるかもしれないと、そこまで考えて、おまけにしました。深いテーマです。
「神の手ぬぐい」温泉郷さん
温泉郷さん、こんにちは。なんだか温泉と手ぬぐい、うふふ、と勝手に嬉しくなっています。神の手ぬぐいとは?と思いながら拝見しました。
これは佳作です。忘れられない一作になりそうです。手ぬぐいが干された地球儀には深い思考が生まれたのですね。少しコミカルでもあり、一方で、この地球に覆われた闇を感じるようでもあり、なかなか味わい深いものです。明日世界がどうなるかわからない世の中になってきました。自給自足をして田舎で携帯の電波も繋がらず生きているほうがずっと安全な世の中になってきましたよね。そんなことを北半球と南半球とお母さんの手ぬぐいから教わった気がしています。
同時に、私の糸車(木製の糸を紡ぐ機械です)に今は亡き父が濡れたバスタオルを勝手に干していたことを思い出しました。木だから歪むからやめて、とやめてもらったのですが、なんだか地球儀も糸車も、「そこにちょうどいいのがあったからかけただけ」という無造作な対象だったはずで、そのなんともいえない自然さが愛おしく感じたのでした。
「愛と憎しみの薔薇」ふわり座さん
ふわり座さん、こんにちは。梅雨に入りましたね。
これはなかなか良かったですね。読んでいて、狂気を感じたのですが、最後に999本の黒薔薇が「あなたのその感じ方であってたよ」と答え合わせしてくれました。佳作一歩手前です。一歩は、行替えです。もう少し行を変えてもいいんじゃないかなと思いました。それはご自分でできると思いますのでやってみてください。内容についてはこのままでいいと思います。一番良かったのは、最終連にいくまで、微妙なラインを守ったことです。重いな、愛じゃなくて執着ではないの?と思わせつつも、いやこれを愛と思う人はいっぱいいるだろう、と絶妙なラインでした。そうですね。タイトルはもう少しぼかしてもいいかもしれないですね。この辺りは好みだと思いますが、「薔薇」だけでもいいかもしれません。
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みなさん、夏バテされていませんか?
どうぞご自愛くださいね。