「三島由紀夫と全共闘の自己否定」
三島由紀夫の自決 割腹
あれは自己の全否定なのか 全肯定なのか
ならば 死の前に 書いた
豊饒の海第四部や 檄文は
あれは 自己存在の 頂点だったのか
そして 自己存在のすべてを賭けて
自衛隊のバルコニーで
言霊(ことだま)を発したとき
自己存在は全エネギーとなって 存在していた
すべての自衛隊員はただ彼にヤジをとばした
彼は本気で皇国精神の発揮を期待していたのだろう
その時彼は 完全に知った
自己の存在のすべての意味は完全に否定された
しかしその時 彼は 逆に 自己存在のすべてを 完全に 肯定できたのかもしれない
彼は皇国の精神に則り(のっとり)
自死した
彼の人生を考えるとき
それは仕方がないことのような気がする
それは ある意味で
完全なる 生の超克であり
完全なる 死の超克であった
そう
私は もう 言いたくない
同時期の 全共闘の自己否定と
彼らのリーダーの長く苦しい人生と
そして 彼らの 純粋さ
人間らしさの貫徹の難しさ
そして
赤塚不二夫の
「それでいいのだ」
という 全肯定の 言葉
純粋で 力強く エネルギーに満ちた 時代
三島由紀夫と全共闘の自己否定の時代