河原で 晶子
もうすぐ闇に覆い隠されそうな
寂しい黄昏時
誰が積んでいったのだろう
河原に残された石積み
たとえ小さな石を積み上げただけでも
誰かのためのものならば
やがて訪れる夜に
暗い地上にありながら
藍に満たされた空へと己を示し
天の川流れるその天上からもわかる
私達の標として
星々に負けぬ話を始めるだろう
人の証となるだろう
すぐに崩れるものだとて
必ず消える星達と
何の違いがあるものか
すぐに消えるものだとて
さらさら流れていくものに
泣きながら逆らうように
思いを積み重ねられるのは私達だけ
私達がありえないはずの世界に
私達は生きている
だからすぐ消える
でも
産まれる
有難い世界に
私達は生きている
石積みは崩れ
また積まれる
また崩れ
また積まれる