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スレッドNo.4162

ウクレレ教室迷子 紫陽花

その日も朝から雨だった
いつもと同じようにウクレレのレッスンは始まり
いつもと同じようにレッスンは終わった
それから唐突に先生が 今月でレッスンを辞めますと宣言した

降り続いていた雨の音がやんだ
いきなり私の足元の床がすとんと抜けた
私の体はそのままどこまでもどこまでも落ちていった
まるで底無し沼に落ちていくように
それから急にその音は聞こえてきた
懐かしい波の音だ 
ゆっくりと地面に着地すると 今度は潮の香りに包まれた
私はゆっくりと歩く
一足ごとにどこから出てきたのか
金色の猫が足元にまとわりつく そのたびに私は足を振る
猫が驚いて離れる とまた少し歩く
そうしているうちに弁天堂と看板のあるお店に着いた
店の窓から今度は白い猫がこちらをじっと見ている
私は再び足を振る 白猫は驚いたように窓から飛び出す
それと同時に私がぽんと店の中に入った
店内には大きな窓がひとつ 
四角い8人掛けの木のテーブルがひとつ
背もたれのない丸い椅子が8脚ある 
それだけで小さな店内はもういっぱいだ
壁には跳ねる魚の絵がひとつかかっている
奥の方から視線を感じて目を向けると
背の高い金色の髪の男性がこちらを見ていた
軽く微笑むと立ち上がり自己紹介を始めた
私はここで毎週ウクレレ教室をやってます
どうぞ今から体験していってください
私は喜んで椅子に座った
周りにはいつの間にか猫猫猫猫
みんな小さなウクレレを抱えている
金色の髪の先生が拍を数える
パートに合わせてアンサンブルが始まる
私の好きなFry me to themoonだ
間違えた音を弾いては誰かがニャー
1回合わせ終わるごとにニャー
そんな調子であっという間に時間が過ぎて
レッスンは終わりですと声がかかった

その声が終わるタイミングで
私は私の部屋に帰っていた
バッグの中を見るとさっきの
Fry me to themoon の楽譜と金色の名刺がある
どうやら本当にウクレレ教室体験をしたようだ
名刺には先生の名前がにゃんころりんと書かれてあり
メールアドレスも書かれてあった

うん まずはメール問い合わせをしてみよう

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井嶋様、こんばんは。暑くなってきて妄想に拍車がかかっております。
よろしくお願いいたします。

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