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スレッドNo.4163

立志  理蝶

立ち上がる
初夏の風が吹く最中

立ち上がる
ぐらつく歯を噛んで

立ち上がる
袖をせわしくはためかせて

立ち上がる
白い腕を日に焼いて

立ち上がって みたものの

みえをきって みたものの

空には まひるの月がぽつねんと
だれもみてはいないのさ

丘だけはしっている
ふたつの足が 
かすかに震えていること

力感たくましく 走ってゆくんだ
いのちは まだ満足していないぞ

土を散らして 汗を垂らして
立ち上ってくる 草のちぎれた匂い

まひるの月から 光のしずくが落ちて
花が次々とよみがえる 

色が行く手を跳ね回る
なんだか目にしみて 
涙まであふれてくるんだ

あれ どうしよう
うらぶれた 
ことばとルーチンが 
らんらんと光り出して 
すこし笑っちゃうくらい

どんな光も壊してしまわないように
この手は 広く やさしく

この手には まだ何も握られていないから
この世界のどこよりもすずしい!

風をはらんで 走ってゆくんだ
いのちは まだ満足していないぞ

丘だけはしっている 
花束を持った男が 
彼の後をそっとつけていったこと

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