17歳の星くず 理蝶
風もそこらで腰掛けてるよ
夏にもう疲れてしまっているんだな
室外機はしずかに震え
吐いて、吐いている
一方 この部屋に
氷嚢のように冷えてたわんでいる俺
今夜集合をかける
なるべく萎れた友達を呼んで
17歳の夜空に落としてきた
豊かに匂う星くずを取り返す行進
気分はパンクで
それもみずみずしい鉄線みたいなパンク
を流して
夜空の関所までは 自転車でゆこう
なるべく汗をかくのが
綺麗だった17歳の作法で
微かに光る思い出が
まだ夜空の通貨であることを信じて
ポケットには詰められるだけの青写真を
夜空の関所をくぐったら
さあゆこう 星に溺れながら
ずる賢く器用になった
白い腕を大きく振って
手さぐりで
17歳の星くずを探す
ふと あの夏の十字路にただよっていた
懐かしい匂いがして振り返ると
そこには
みじめだけどまっすぐ光る
俺の星くずがいたんだ
星をつかんだ腕を
高く高く上に伸ばす
俺たちを見下ろす
神様にもよく見えるように
調子に乗って
俺はいきなり星くずにかみつく!
ガキンとかたい音がして
歯と星の欠けた夜空に
神様の呆れ笑いがひびく
みんな自分の星くずを見つけたら
流れ星が作った 夜空のけもの道をくだって
家に帰ろう
俺たちの星くずが
前カゴに揺れている
もうあの頃のようには光らないけれど
それでも十分まぶしかった
その日 俺たちの街では
季節はずれの流星群が
みられたという