評ですね。7月5日(金)〜8日(月)ご投稿分 雨音
すみません。お先に参りますね。
「お役所」秋乃夕陽さん
秋乃さん、こんにちは。今日はことのほか暑かったですね。
なんだか読んでいて胸が痛くなる光景です。この作品の最も良い部分は、この胸が痛くなるような光景をとても淡々と書いていることです。作者の感情が入らずに、読者にその感情を任せたところというんでしょうか。それがとても良かったと思います。こういった情景の切り取り方、というのは個性だと思います。これからもぜひ大切にしてくださいね。
一つだけアドバイスします。それは一連の入り方なんですが、ここだけは少し丁寧に書かれた方がいいかもしれないですね。というのも、この一行目の「ちょんぎられた支援の端」の意図が伝わりにくいからです。一瞬、被災地なのかなと思ったのですが、続く区役所の文字にそれは違うんだなというのがわかります。これがどこかにつながってこないともったいないですね。そこだけ少し考えてみてくださいね。
「ドーナツステーション」松本福広さん
松本さん、お待たせしました。夏は夕方になると少しホッとしますね。
ドーナツの穴には秘密がありますよね。こちら、とあるドーナツ店から宣伝広告に使ってもらえそうな作品になっています。ドーナツがお好きなのかな?こんな光景が陽炎の向こうにあるのなら、暑さも悪くないものだと思いました。ということで、一連は本当に重要でこの作品の中に、効いています。少し見直して欲しいことがあります。まず語尾の語調を合わせること。それに付随して、体言止めを少し減らしてもいいかもしれません。テンポは良いのですが、ファンタジー調のフワッとした感じを残せたらいいですね。ドーナツは穴が空いているから0カロリーというのはきっと真実だと思います♪
「そらをとびたい」じじいじじいさん
じじいじじいさん、こんにちは。少しづつ日が傾いてきました。
空を飛びたいという願望は小さい人から大きい人までたくさんの人が持っているでしょうね。それくらい空は広く自由で美しく見えます。学校があまり好きじゃない小さい人の気持ちがストレートに伝わってきます。きっとそれこそがじじいじじいさんの作品の目指していらっしゃるところなのでしょうね。
じじいじじいさんの作品はひらがななので、読むときに少しテンポが落ちます。ですから、少し整理できると良いと思います。例えば、きょうしつのまどからそらをみたら・おおきなとりがそらをとんでる・のんびりとゆっくりとんでる・とりはいいなそらをとべて、とこれは二連ですが、この四行の中に「そら」が3回出てきます。こういった部分を少し見直してみて欲しいなと思います。少しやってみますね。きょうしつのまどからそらをみたら・おおきなとりがとんでいる・のんびりゆっくりとんでいる・とりはいいな、こうすると、とりはいいな、に余白が生まれ、余韻も生まれます。ひらがなであり、主題がシンプルだからこそ引き立つ言葉選びをしてみてくださいね。
「楡けやきの誘い」上田一眞さん
上田さん、こんばんは。お待たせしました。夜になりました。
楡けやき、というのを知りませんでした。秋楡と同じなのかな?このお話は庭にある一本の楡けやきから生まれた小さなドラマですね。クワガタが好むという木にクワガタではなく小学生が張り付いて、そして怪我までしてしまうなんて。そして、学校中に有名な木だったなんて。とドラマがいっぱいです。お話は過不足なく進んでいきました。最後には大円団となりますが、果たして子どもたちは戻ってくるのでしょうか、という余韻を残したところがお上手でした。そうですね。佳作一歩手前です。すみません。厳しいですよね。これは正直いって直すところはないんですよ。ただ、上田さんならもうひとつ、強弱がつくんじゃないかなと私の期待からの一歩です。強弱というよりも、共存同栄、に持っていく部分に紆余曲折あっての気持ちの変化があったわけですが、そこをグッと引き立たせるような構成にできたらいいかもしれませんね。クワガタが登場してもいいし。上田さん、良い作品だったことは間違いありません。
「唐辛子と光トカゲのうた」荒木章太郎さん
荒木さん、こんばんは。光と影が交差する時間を過ぎました。
光トカゲと光と影、ひかりとかげ、そして唐辛子、のうたなのですね。この作品はとても深く味わうことができました。辛いものに旨み成分があるような感じでしょうか。特に光トカゲの存在はとても不思議であり、そのことを考えていくうちに、光と影はまるで正反対のように思えるけれど、実は共存していて、同じものを前と後ろから見るようなものなのかもしれないなという考えに至りました。そう思うと汗と涙も、怒りと悲しみも、痛みと味覚も、全てそうなのかもしれませんね。喜びも我慢も。そんなことを感じました。こちら佳作半歩手前です。そうですね、この一歩はトカゲの尻尾みたいなものかな。前半がもう少しだけ軽くなると後半にグッと集中していく(読み手が)ように思います。
「その後は どうかしたんですか?」温泉郷さん
温泉郷さん、こんばんは。お待たせしました。
佳作です。
ストレートに伝わってくる、なのに、深く考えてしまう、忘れられない、そんな味わいのある作品だと思います。どうかしたんですか?はいろんな言葉を含んでいます。けれど、ただのどうしたんですか?なのです。その潔いほどのあっさりとしたフレーズはとても有効だったと思います。ありってとても頭がよく一度道を作ると後から後から仲間がやってきますよね。アリの話から始まりますが、アリだけじゃない、何もかも、そう何もかもなんですよね。とても良かったと思います。
「理想郷じゃなくても」ふわり座さん
ふわり座さん、お待たせしました。今夜の月はあんまんみたいな形をしています。
まず、構成の仕方がとても上手になられましたね。強弱がうまくできているなと感じました。四連目からのテンポを一気に上げるために三連までは淡々と書いたのかなと思います。ただ、その三連目までをほんの少し整理するといいかもしれません。例えば、二連ですが、このままだと少しわかりにくいのが勿体無いですね。すごく良いことが書かれているのに少しあやとりみたいになってしまいました。直してみようかなと思ったのですが、あえて直しませんね。これはふわり座さんならもうご自分の力でできるし、自分でないとうまくいかないかもしれません。ふわり座さんこの掲示板に書き始めてもうどのくらい経つのでしょう?今度教えてくださいね。今回は佳作一歩手前でした。
「信じる心と愛と孤独」相野零次さん
相野さん、こんばんは。お待たせいたしました。今日のトリは相野さんです。
こちらは独白のような作品です。孤独が恐ろしいから始まり、最終的には、人を信じ愛に導かれ孤独を受け入れよう、という気持ちに至ります。縦に長い作品でしたが、相野さんはこの作品は一気に書かれたのかなと感じる勢いがありましたね。
この作品の主題は信じること?愛?孤独?と考えて、やはり孤独であるのかなと感じます。愛なのかなとも思いましたが、やはり孤独なのだろうと判断した上で書きます。全部繋がっているのですからどれをという意図はなかったかもしれませんね。もし主題を孤独とするならば、この孤独の恐ろしさ、冷ややかさ、そういったものがもう少し書かれると良いように思います。そうすることで、その後の作者の思考がよりくっきりと伝わってくるからです。孤独は恐ろしい、それを温度や触感、色彩、どんな形でもいいので少し掘り下げてみるとそこが奥行きとなってこの作品を後押ししてくれると思います。少し遠回りするようなイメージです。テーマが壮大ですから、きっと時間をかけて推敲していくととても大きな良い作品になると思います。
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暑中お見舞い申し上げます。
梅雨が明けていよいよ休憩なしの夏が来ましたね。
(私にとっては雨の日は休憩でした)
体調を崩しやすい季節ですね。みなさんどうぞお健やかにお過ごしくださいね。