烙印 晶子
無垢な赤子の額に
私は誰も殺めていないという大人に
あと少しで旅立てた老人に
人をその手で殺めた者に
等しく
戦争をした世代という
決して消えることのない烙印を押す
戦争とは
そういうものなのではないか
押されてから
何年も経っているのに
今日もよみがえる痛みを
伝える為に
老人は烙印を掻きむしる
一つの戦争が終わり
その後に産まれ
異国の戦争を眺めている
私は
額を確かめるように
そっと手をやる
無垢な赤子の額に
私は誰も殺めていないという大人に
あと少しで旅立てた老人に
人をその手で殺めた者に
等しく
戦争をした世代という
決して消えることのない烙印を押す
戦争とは
そういうものなのではないか
押されてから
何年も経っているのに
今日もよみがえる痛みを
伝える為に
老人は烙印を掻きむしる
一つの戦争が終わり
その後に産まれ
異国の戦争を眺めている
私は
額を確かめるように
そっと手をやる