7月26日から7月28日までのご投稿の感想と評です
2022年7月26日から7月28日までのご投稿分の感想と評です 夏生
「おんがくかい」 じじいじじいさん
じじいじじいさん、はじめまして!
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「おんがくかい」の感想を送らせて頂きます。
可愛らしいオノマトペ。
絵本のようなやさしいリズムはやわらかい色彩を見ているような
心地よさを感じます。ひらがなとカタカナのみの詩はなんだかわくわくします。
あめがあたるおとは一定のリズムではないから、面白いし楽しい。
寝ているときなど、雨音に耳をすませてその「おんがくかい」を楽しんだりして。
どこか懐かしくてあたたかいものを感じる一篇でした。
「悲しみの居場所」 紫陽花さん
紫陽花さん、はじめまして!
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「悲しみの居場所」の感想を送らせて頂きます。
今のご時世、描かれたような状況に遭う人は多いと思います。
誰が悪いのでもない、と頭でわかっていても心は傷ついたり
嫌な塊が出来ることもあって。それを怒り、不愉快と感じるより
悲しいと感じるところに紫陽花さんのやさしさが出ていると思いました。
小さな悲しみをポケットに入れて持って帰る。洗濯機の中にうっかり入れてしまっても
洗浄されることなく洗濯物にくっついてしまう。
忘れてほしくない、分かってほしいという気持ちを見事に表現されていました。
読み進めていくと切なさがこみあげてきますが、この詩の主人公はやさしく扱います。
その行為や思いは紫陽花さんの心の扱い方そのもののように感じられて、切なさとあたたかさの残る一篇でした。
「慈雨」秋冬さん
秋冬さん、今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「慈雨」の評を送らせていただきます。
泣くことで心をデトックスさせることを涙活(るいかつ)というそうです。
何かに心が大きく動いたこと、動けたことの喜びがそこにあるような気がして。
この詩の主人公が「久しぶりに泣いた」ことを喜んでいる、泣く姿がみじめでも
うれし泣き、情けなくてもらい泣きする。慟哭や号泣とは違った
この「泣き」には爽快感があります。
涙もろかったことを 忘れるほど 砂漠の毎日だった、という最後の連で
心の深いところにじんわりと涙がにじむ感覚がありました。
心があること、感じ取ることが出来たことに歓喜した涙が印象的な一篇でした。
御作、佳作とさせていただきます。
「愛」 プラネタリウムさん
プラネタリウムさん、今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「愛」の評を送らせていただきます。
愛、とは…。あまりに壮大で人の数だけ捉え方、感じ方があるテーマですが
プラネタリウムさんの愛の解釈は興味深く、「ああ、そうかもしれない」と
頷く自分がいました。
なんでも大きく包み込むことが出来てしまうから、その本質に向かおうとしない。
愛=素晴らしいもの、で終わってしまう。そこを御作はもう一歩先に進んで
愛の正体、本質まで突き詰めようとします。
難しい定義ではなく、「愛とは如何にも恐ろしい呪いである」と「酔いしれ、溺れることこそ本性だ」と説きます。愛と呪いは真逆のようで、どちらかが行き過ぎた結果と捉えることもできます。面白いです。
愛と向き合って自分なりの思いを伝えて終わる。余韻が艶やかに残りました。
御作佳作とさせていただきます。
「おーい、しっぽ」 山雀詩人さん
山雀詩人さん、はじめまして!
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「おーい、しっぽ」の感想を送らせていただきます。
「心」はどこにあるだろう という疑問から展開されていく流れ、
面白いですね。ユニークで「ああ確かに!」と気づく楽しさがあります。そこからどう着地するのか注目すると、心はとかげのしっぽのように切り捨てた、という衝撃的な展開。
クライマックスに近づくにつれて、こちらの「心」が大きく揺さぶられ
泣きたくなるような思いがこみあがってきました。
最終連、着地は見事でした。詩の面白さが詰まった一篇でした。
「軒下の燕達」 小林大鬼さん
小林大鬼さん、以前私が齋藤さんの代打で評を書かせていただきました。
今回、こちらでははじめてなので申し訳ございませんが、感想のみとさせていただきます。
ご了承ください。
僭越ながら御作「軒下の燕達」の感想を送らせていただきます。
子育てに懸命な親燕と生きるにことに力いっぱいなヒナたち。どうかヒナが元気に羽ばたけますようにと願わずにはいられません。
燕の巣がある家は良い運気が流れている、幸福が訪れるといわれています。
御作は燕の子育てを丁寧に観察して、その営みの余韻まで描かれています。その様子を共に観察しているような心地になって、想像するだけでも幸福な気分になれる一篇でした。
「EmoTIoN oF A MoMENT」 SUIZさん
SUIZさん、はじめまして!
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「EmoTIoN oF A MoMENT」の感想を送らせていただきます。
言葉の乱れが指摘されるようになって何十年。
正しい意味を理解していないと揶揄される。近頃の者は日本語もろくに話せない、わかっていない、なんて言われたりして。
御作は「辞書は言葉の墓場だ」という言葉から展開されていきます。
大胆な発想。えらそうな学者たちの企みが「正しさ」の中で暗躍しています。
そこに対抗するのは「落雷を浴びたような一瞬の衝撃が放つ摂氏30000度の狂熱」
その熱、衝撃を言葉にするなら、雑多な言葉ではなく幼くとも生きている言葉があればいい。力強い筆致から伝わる言葉に対する情熱と抗いが大きく響く一篇でした。
「ファーストラヴ」 喜太郎さん
喜太郎さん。はじめまして!
はじめての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
御作「ファーストラヴ」の感想を送らせていただきます。
「誰かを演じていれば 恋愛は楽だと思った」
「本物の自分が嫌いだ」から「君」と出会ってから
予定通りにはいかない、思ったとおりにならない、なれない流れに
主人公の心が揺れていくのがわかります。切ないです。
どうなってしまうのか。このまま辛くて苦いままで終わってしまうのか
と、思ったら最終連で本当の恋愛って、と気づくところにこれから先の恋は
きっと良いものになるだろうな、と思ったら、「気づくのが遅くて」と
悔いで終わる。大丈夫、これからきっと素敵な恋ができるよ!と励ましたくなるような
一篇でした。
今回もご投稿くださりありがとうございます!拙い評で大変申し訳ございません。
皆様の作品から多くを学び、気づきをいただいております。
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿者、選者皆様。酷暑とコロナで大変な状況が続いておりますが、元気に乗り切れますように心からお祈り申し上げます。